オーストラリア・バレエ団ソリスト根本里菜さんインタビュー

2018テレストラ・バレエ・ダンサー・アワード・トップ6

オーストラリア・バレエ団ソリスト
根本里菜さん

インタビュー

美しい衣装をまとい、優雅に舞台上で踊るバレリーナは多くの人の永遠の憧れだ。だが、バレエ団で登りつめるまでの道のりは厳しく、鍛え抜かれたしなやかで強靭な肉体と精神力が必要とされる。オーストラリア・バレエ団に入団して7年、着実にキャリアを積み重ね、今年ソリストに昇格した根本里菜さん。4年ぶりに2018年のテレストラ・バレエ・アワードの最終候補6人に選ばれた。子ども時代、バレエに人生を掛ける日々について話を伺った。(インタビュー・文:大木和香)

美しいアラベスクが印象的な『ジゼル』のリハーサル風景から(Photo: Kate Longley)
美しいアラベスクが印象的な『ジゼル』のリハーサル風景から(Photo: Kate Longley)

この先もずっと踊り続けるために、バレリーナの道へ

──再びノミネートされた現在の心境は。

「今までの努力を認めて頂けたということで、とてもうれしいです。4年前のノミネート後からいろいろな役を頂き、多くの経験をして前回よりも更に自信がつきました」

──バレエを始めたのは3歳からだそうですが、子ども時代の練習について教えてください。

「小学校3年生からコンクールに出るようになり、そのころから週6日練習しています。学校帰りにバレエ教室に行き、夜10時まで練習するという生活です。夜7時からのレッスンを受け、終わった後も皆、10時や11時まで自主練習をしていました。土日は1日中バレエ教室にいました。小学校6年の時に、この先もバレエを踊り続けていくにはどうしたらいいのか?と考え、バレリーナになればずっと踊っていけるとプロを目指しました」

──15歳の時にフランスに単身留学をしたそのきっかけは?

「恩師の工藤大貳先生が日本で行う講習会に参加したのが最初です。先生の下で学んだ2年間はバレエ漬けの日々でした。両親はとても心配していたと思いますが、私にとってはひたすらバレエに打ち込める環境はとても魅力的で、フランス留学に迷いは全くなかったです。両親は私がやりたいことを応援し、高校を休学してバレエに専念できるように後押ししてくれました。感謝しかないです」

──恩師の工藤先生の元で学んだことは。

「とても厳しく、本当に生徒をダンサーにしたいという愛を持って指導する先生でした。レッスンだとしても百発百中できないと怒られ、それぐらいできないとプロは無理だとはっきりおっしゃる先生でしたので、メンタルもフィジカルも鍛えられました。今は父のような存在で、正直で厳しいからこそ信頼関係を築くことができました」

たった1度のリハーサルでトーシューズが潰れることも

──2011年からオーストラリア・バレエに入団しましたが、同バレエ団の特徴は?

「良いダンサーが多く、コール・ド・バレエ(ソリスト以外の踊り手集団)がそろっていて、全員が支え合う家族のようなカンパニーです。年間180回以上の公演が毎回ほぼ満席なのは、ダンサー同士が共に作り上げているということが、お客様に伝わっている証拠だと思います」

──日々のトレーニングの量、体調管理のためにしていることを教えてください。

「週6日、バレエ団のクラスが10時半から1時間15分あり、公演がない時期は午前10時半から午後6時半までリハーサルをします。公演中は水・土の2回公演以外の日に午前11時から午後3時まで次回演目のリハーサルをし、夜から本公演をします。同バレエ団はメディカル・チームのサポートがすばらしく、ダンサーはそれそれの空いた時間にフィジオやマイオセラピーを受けて体調を整えます。公演中は夜も遅く、昼間はリハーサルがあるので、なるべく3食たべて良い睡眠を取るよう心掛けています。和食を食べている時の方が体の調子が良いので和食が中心です」

──インスタグラムではトーシューズをご自身で縫っている写真がありましたが、どれぐらいの頻度で新しいシューズを下ろすのでしょうか。

「作品にもよりますが、去年踊った『アリス・イン・ワンダーランド』では1度のリハーサルで使えなくなり、毎日トーシューズを履き替えました。平均で週2、3足を使うため、練習が終わると毎日縫っている感じです」

日々を大切に、舞台のために全力を尽くす

──ダンサーとしてのご自分の強みとは?

「音楽を聴いて自らの心を通して踊ることができる。自分が感じたものを外に表現できるのが私の強みです。毎日、同じ曲を聴いても、違うものを感じ取れるようにマインドをリセットします。50公演以上同じ舞台をしても、皆様に毎回違うものをお見せしたい、新しい物を作っていきたいと思いながら踊っています」

──目標にするダンサーと今後のビジョンを教えてください。

「フランス留学時に学んだドミニク・カルフーニ先生が私の永遠の憧れです。彼女の全ての動作には意味があり、ほんのわずかな手足の動きで、場の雰囲気が変えられるダンサーになるのが目標です。先のビジョンというよりは、まずは、日々を大切にしていくことです。ダンサーはけがが多く、いつ踊れなくなってしまうか分からないのので、1つひとつの舞台を大切にしていきたいです」

「公演に足を運んで頂いて、よりバレエを身近に感じて欲しい」とはにかんだ笑顔で話してくださった根本さん。すらりと伸びた手足、その可憐で妖精のような姿からは、日々これほどの練習を重ねてきた苦労は微塵も感じられない。踊ることが何よりも好きだった少女が海を渡り、オーストラリアの観客を魅了するバレリーナへと成長した。同アワードは11月25日まで一般か投票を受けて受けている。受賞者は11月30日のシドニーオペラハウスでの「シンデレラ」のオープニング・ナイトで発表される。

■テレストラ・バレエ・ダンサー・アワード投票ページ
Web: www.telstra.com.au/thanks/arts/2018-telstra-ballet-dancer-awards-voting
投票用SNSは0484 225 538 or 0484 BALLET(ノミネート者の名前を記入して送る)


プロフィル
1991年生まれ東京都出身。3歳からバレエをはじめ、12歳の時にプロを目指す。15歳から2年間フランスに留学し、工藤大貳先生に師事した。2009年には若手バレーダンサーの登竜門「ローザンヌ国際・バレエ・コンクール」に出場、この時に奨学金を得てイギリスの名門ロイヤル・バレエ団で1年間の研修を受けた。11年にオーストラリアン・バレエ団に入団。17年には『アリス・イン・ワンダー・ランド』では大役アリス役にも挑戦し、18年にソリストに昇格

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