【帰任インタビュー】秋元義孝駐オーストラリア特命全権大使

帰任インタビュー 駐オーストラリア特命全権大使 秋元義孝氏
「歴史的な日豪関係の発展に努力」

3月13日に駐オーストラリア特命全権大使としての任務を終え日本に帰国される秋元義孝大使に話を伺った。(聞き手:小副川晴香)

 

——着任前のオーストラリアに対する印象は、実際に住んでから変わりましたか?

着任前は、オーストラリアは資源国であり「資源価格の高騰によって経済成長を遂げた」という認識を持っていました。しかし実際は、アメリカ型の自由主義とヨーロッパ型の公平さを兼ねそろえた政治・社会システムや開放された経済システム、また、さまざまな人種や民族を受け入れる多文化主義などを背景に、これだけの経済成長を成し遂げた国なのだ、ということを実感しました。本当に素晴らしい国だと思います。

 

——在任期間中に成し遂げられたことは?

日豪関係はこれまで、経済や人的交流によって大きく支えられてきました。しかしこれからは、両国の関係を支える柱として政治と防衛面を強化し、日豪をより強固な関係にしたい、と強く願うようになりました。在任期間中に、「微力ながら少しでもそういった方向に持っていけたら」と考えていましたが、昨年の安倍首相のオーストラリア訪問で、ある程度は達成できたのではないか、という気はします。

 

——大使として一番印象に残っている出来事は何ですか?

一番印象に残っているのは、何と言っても昨年7月の安倍首相のオーストラリア訪問です。これは日豪関係をさらに発展させていく上で、大きなモメンタムができた歴史的な訪問となりました。成果面では、日豪経済連携協定(EPA)と日豪防衛装備品・技術移転協定が締結されたほか、両国の首脳が毎年、お互いの国を訪問することで合意しました。これまで両国の関係は、豪州が日本に対して「片思い」をしているという印象がありました。しかし安倍首相の訪豪によって、日本も豪州に対して積極的に向き合っていく、という「両思い」の関係に変化してきたように感じます。

 

——日豪関係は今後どう発展していくとお考えですか?

昨年の首脳相互訪問の成果を踏まえて、これからは経済面のみならず、防衛面や青年協力などあらゆる面でさらに発展していくことを期待しています。

 

——次期大使に託したいことはありますか?

今の日豪関係を一歩でも二歩でも先に進めてもらいたいですが、とりわけ、青年交流事業に取り組んでもらいたいです。現在、オーストラリアの大学や大学院などの高等教育機関で学んでいる日本人留学生は約1,700人、日本の高等教育機関で学ぶオーストラリア人留学生は約300人と、留学生の数がほかの国と比べて少ない。これから10年先、20年先の日豪関係を考えると、若い人同士の交流をより強化していく必要があると感じます。青年交流の活発化は日豪関係の発展のためでもありますが、内向き志向にある日本の若者が元気になってもらうという面でも非常に重要だと思います。

 

——オーストラリア人の日本に対する印象はいかがでしたか?

オーストラリアの人々は日本への関心が高く、非常に親日的という印象を受けました。オーストラリアは、よく(北半球の先進諸国から地理的に離れているため)「距離の暴虐」と言われ、いつも頼れるパートナーを求めてきました。かつてはそれが宗主国の英国でした。しかし、オーストラリアが「アジアのダイナミズムの中で成長していく」という、国家としての方向転換を図った後、アジアの中で頼れる相手国は日本でした。第2次世界大戦後、オーストラリアが農業国から資源大国として発展していく過程で、日本からの投資はオーストラリアの経済発展に大きく貢献しました。また、日本も戦後の復興から経済成長を遂げる中で、石炭や鉄鉱石などを鉱物資源の豊かなオーストラリアに頼りました。こうした半世紀以上にわたる経済面での協力関係が礎にあるからこそ、オーストラリアは非常に親日的なのだと思います。

 

——実際に暮らしてみて、オーストラリアでの生活はいかがでしたか?

オーストラリアは「世界で最も住みやすい」と言われていますが、実際に住んでみて、そう実感しました。私が住んでいるキャンベラは静かで緑も多く、ゴルフをするのにも最適でした。在任期間中にオーストラリア全州と準州を訪問しましたが、どこに行っても自然は豊かで、生活水準も高く、人びとはオープンで親日的。私が在外勤務した中では、最も住みやすい国でした。

 

——オーストラリアでこれをやっておけば良かったことなどありますか?

もう少し若かったら、キャンピング・カーを借りて内陸部にドライブ旅行に行けば、オーストラリアの広大さや別の魅力が分かって良かったのかもしれませんね。

 

【略歴】秋元義孝(あきもとよしたか)

昭和28年  1月1日生まれ
昭和51年 10月  外務公務員採用上級試験合格
52年 3月  東京大学法学部第二類卒業
4月  外務省入省
平成 3年 11月  在連合王国日本国大使館 参事官
6年 6月  在ロシア日本国大使館 参事官
9年 8月  欧亜局東欧課長
11年 8月  経済協力局無償資金協力課長
13年 1月  経済協力局政策課長
14年 4月  在インドネシア日本国大使館 公使
16年 8月  在ロシア日本国大使館 公使
20年 1月  大臣官房審議官兼総合外交政策局(国連 担当)大使
20年 7月  中東アフリカ局アフリカ審議官
22年 8月  儀典長
24年 9月  在オーストラリア日本国大使館 特命全権大使

——最後にオーストラリアに住んでいる日本人の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

着任以降、多くの在留邦人の皆さんにお会いし、貴重なお話を伺うことができました。また訪問する先々で温かく歓迎していただき、非常に感謝しています。この1~2年で両国の関係は政治や防衛面で発展しつつあるものの、やはり経済や草の根交流が日豪関係の根幹になっています。オーストラリア各地で活躍されている日本人の皆さんにはぜひ、「自分たちがオーストラリアで活躍することが日豪関係の発展につながる」という気概を持って、これからも頑張っていただきたいと思います。

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