オーストラリア子育て特集(QLD編/2016)②日本語教育

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オーストラリアで子育て QLD版 バイリンガル教育、学校選びに知っておきたいポイントを紹介!
(取材・協力:ブレット・カミング、さくら学園運営委員会)

悩ましい日本語教育の問題

オーストラリアで子育てをするということは、子どもは日本語と英語のバイリンガルになるということだが、実はバイリンガルは研究者によってさまざまな定義がされており、現在でも研究途上の分野だ。

●バイリンガルについて

2カ国語を使える人をバイリンガルと呼ぶが、両方を母国語として同じ能力の場合もあれば、同等に使えるがどちらも母国語者に及ばないケース、2つ目の言語が多少劣るなどさまざまなパターンがある。いずれにせよ2カ国語を使えると、異なる文化や価値観などを理解し、より視野の広い人間になれる可能性が高い。一方で、子どもが成長するに従い、英語が上達するにつれ、日本語を忘れてしまうのではないかと心配になる人もいるだろう。

保護者が共に日本人なら、家庭内で積極的に日本語を使うことで、日本語の話す、聞くといった能力をある程度維持できるが、一方の保護者が日本人で、もう一方が別の言語の場合だと日本語に接する機会が減るため、積極的に日本語でコミュニケーションするようにしよう。

特に子どもが小さい時期なら、保護者が2人とも日本人の場合は英語を混ぜずに、正しい日本語でコミュニケーションする。保護者の母国語が別々の場合は、それぞれきちんと自分の母国語でコミュニケーションを行うことが望ましいとされている。例えば母親は日本人で父親が中国人、家庭の外では英語といった環境などで、母親が子どもに話しかける時に日本語と中国語と英語が混ざってしまうと、子どもは混乱してしまう。もし保護者の母国語が別ならば、子どもが小さい時ほど、保護者は自分のそれぞれの母国語で接するようにしよう(*)。

会話だけなら話す、聞くで何とかなるが、物事をより深く理解するためには、話す、聞く、読む、書くといった能力がバランス良く、しかも結び付いていなければならない。このため、読書や、日記や手紙を書くといった行為をしっかり経験させるようにしたい。話す、聞く能力は自然発達するが、読む、書く能力は決して自然発達はしないことを肝に銘じておこう。

言語の発達段階(一般的な例で、異説もある)

●日本語能力の維持

前述のようにQLDには日本語学校がないので、学校とは別に日本語補習校や「さくら学園」のような日本語・日本文化を教えるスクールへ通うしか方法はない。これらの機関はプレップや1年生から生徒を受け入れている。

QLD補修授業校は日本政府認可の補習校でゴールドコーストとブリスベンにあり、毎週土曜日の午前中に国語、算数(数学)などの授業が日本の教科書を使って、いつでも日本の学校へ編入できるように日本の学校制度に基づいて行われている。

これとは別に日本語や日本文化を教えるスクールもあり、それぞれが特徴のある日本語教育を行っている。

例えばさくら学園では日本文化をより深く理解できるように、体験、経験を重視している。これは、本や写真から知識としては知っているが、体験していないので本質が理解できないといったことをなくすようにとの考えからだ。日本に暮らしたことがある人なら体験している当たり前のことでも、オーストラリアで暮らす子どもにとっては経験することが難しく、知識でしかない場合も多い。そのため、さまざまな行事などに参加することで日本の伝統や文化に親しんでもらおうと、年中行事はもちろん、けん玉や野球、能など実に幅広い分野を取り入れている。

保護者の立場からすると、子どもの日頃の学習の成果は、なかなか目に見える形にはならないために不安を感じてしまう。そこで漢字検定や日本語能力検定(日本語を母国語としない人を対象にした日本語の検定試験)を実施したり、MLTAQ(Modern Language Teachers’ Association of QLD=QLDで第2外国語を教える先生たちの協会)が主催するスピーチ・コンテストに参加する活動を行っている。学習の成果がはっきり分かるので保護者は安心でき、明確な目標を持つことで子どものモチベーションも上がるという相乗的な効果が得られると好評だ。

●豪州での子育ての相談

子育ては大変で、しかも日本とは言葉も文化も異なるオーストラリアでは更に苦労も多い。悩みを相談できる人が少ないうえに、どうしても同世代もしくは近い世代の人に相談することになったり、自分の両親に相談しようとしても、状況があまりにも違い過ぎるので直接参考にできなかったりする。結局誰にも相談できず、悩みを抱えていないだろうか?そんな時、日本語補習校やスクールには、子育てに関する相談に乗ってくれるところもある。

例えばさくら学園では、保護者同士がコミュニケーションできる機会を設け、異なる世代の保護者同士が交流できるようにしている。オーストラリアで何年も子育てをしてきたベテランから実体験に基づくアドバイスを直接聞ける機会を設けたり、大学で日本語を教える先生や、バイリンガルを研究している専門家を招いてのセミナーを開催し、少しでも悩みを解消できるように活動を行っている。もちろん子育てには正解はなく、相談やアドバイスも千差万別、人それぞれで環境も異なる。しかし「不安なのは、あなた1人だけではない。一緒に不安を取り除こう」という主旨で活動を行っている。

GC日本人会やさくら学園では子育てに関する相談にも応じるので、もし悩み事があり、不安に思っているなら、一度問い合わせしてみよう。

*研究者によっては幼児期に複数の言語に接する機会が多いと良い影響を受けるとする説もある。

■クイーンズランド補修授業校ブリスベン校事務所(火・木9AM~5PM)
The Japanese School of Brisbane
Suite 17, Taring Professional Centre, 180 Moggill Rd., Taringa
電話:(07)3870-0360
Web: jc-b.com Email: info@jc-b.com

■クイーンズランド補修授業校ゴールドコースト校事務所(水・金9AM~4PM)
The Japanese School of Gold Coast
24 Mawarra Building, 3108 Gold Coast Hwy., Surfers Paradise
電話:(07)5531-6661
Web: jsgc.org.au Email: jlssqnishida@live.com.au

■さくら学園事務局(月10AM~1PM)
電話:(07)5531-6661
Web: www.jsgc.org.au/sakuragakuen
Email: sakuragakuen@jsgc.org.au

●子どもの好奇心を引き出そう

就学前の子どもがいる家庭ではプレップへ通わせることも多いが、保護者2人が働いている場合などはチャイルド・ケア・センターを利用することも考えられる。小学校へ入学する前の子どもたちは、この時期、自分を取り巻く周囲に対して爆発的な好奇心を持つ。さまざまな経験をさせて、興味を持たせ続けることが大切なので、プレップやチャイルド・ケア・センターを上手に利用することも考えてはどうだろう。中には日本人スタッフの常駐するチャイルド・ケア・センターもある。

学校では英語や算数といった基本的な科目に加え、体育や音楽などさまざまな授業が行われているが、更に授業時間外の活動に力を入れているケースもある。例えば合唱やブラス・バンド、弦楽器などのコースを設け、希望する生徒は別途レッスン料を支払って学ぶことができ、複数の学校と共同で発表会を行うなど、授業の枠にとらわれない活動を行っていたりする。アクティビティーも盛んで、遠足や水泳大会、キャンプや修学旅行なども行われるが、これらは希望者だけが参加し、参加しない生徒もいる。

また習い事なども盛んで、学校では経験できない体操やアイス・スケートといった習い事を学ぶ子どもも多い。空手などの武道も人気があり、日本の文化を理解するために武道を学ぶのも良い経験になる。

これらの活動はいずれも子どもの持つ可能性を見つけて、伸ばすためとも考えられる。新しい経験は、新しい価値観や考えを生み出し、子どもの将来にきっと役に立つはずだ。

●子どもに最適な子育てをしよう

日本とオーストラリアでは子育てや教育に対する考え方も大きく異なる。日本では苦手なこともがんばって取り組んだり、結果は二の次で、その過程が評価されたりするが、オーストラリアは子どもの個性を認め得意な分野を伸ばす考えが一般的だ。欠点を気にするより、長所を見つけ子どもが何をしたいのか、どんなことに興味を持っているのかを理解して、子どもの意思や希望を尊重して最大限の応援をする。オーストラリアで子育てするならこのような視点からも考えてみよう。

更に家庭内の生活も重要。学校に任せきりにせず、保護者は学校の行事などに積極的に参加し、また日本語を維持させたいなら、家庭内で(中途半端に英語を混ぜないで)きちんとした日本語による会話をしたり、読み、書きの能力向上のために読書などをできるだけ実践しよう。

また、子育ての悩みは相談しよう。誰もが悩む当たり前のこと。一緒に考えてくれる人が必ずいることを忘れないで。

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