【教育特集2015②】オーストラリアの学校生活

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学校生活の特徴

以下、プライマリー・スクールおよびハイ・スクールにおける特徴的な学校生活の典型例をいくつか挙げてみたい。

表3 2015年のスクール・ホリデー

日程
秋休み  2015年4月3日(金)〜 4月17日(金)
冬休み  2015年6月29日(月)〜 7月10日(金)
春休み  2015年9月21日(月)〜 10月5日(月)
夏休み(東部)  2015年12月21日(月)〜 2016年1月26日(火)
夏休み(西部)  2015年12月21日(月)〜 2016年2月2日(火)

●規模/授業時間/スクール・ホリデー
 学校の規模は、1学年が4クラス以上の大規模な学校から、1〜2クラスしかない小規模な学校までさまざまである。1クラスは25人前後。授業時間は学校によって異なるが、概ね朝9〜午後3時までとなっている。授業は40〜60分単位で、授業時間単位はピリオド(Period)と呼ばれる。また、秋休み、春休み、夏休み、冬休みというスクール・ホリデーがある(表3)。

●制服
 公立校には制服があるが、私立校には制服がない学校もある。制服には夏服と冬服があり、帽子、カバン、ズボン、スカートなどが含まれる。靴は紐がついた黒がベースのものを薦められるが、自分で靴紐を結べない場合は、マジック・テープを使ったものでも可。また体操着と運動靴も用意する必要がある。制服は「School clothing pool」という販売所が学校内にある場合も多い。新品の販売だけでなく、多くの学校では寄付されたセカンド・ハンドの制服も販売される。

●「No Hat, No Play Policy」
 紫外線対策の1つとして「No Hat, No Play」を基本方針とし、帽子を着用しない子どもは外遊びをさせないようになっている。帽子が制服の一部となっているのもこのためである。太陽の光から目を守るためのサングラスの着用や、毎朝登校前に日焼け止めを塗ることも勧められている。

●アセンブリー(Assembly)
 各学校によっても異なるが、プライマリー・スクールでは週に1度、ハイ・スクールでは2週に1度ぐらいの割合で行われる集会。校長先生の話、教師からの伝達事項に続いて、勉強やスポーツで活躍した生徒への賞の授与、生徒たちによる歌やダンスなどのパフォーマンスなどが行われるアセンブリーと呼ばれる行事がある。保護者が招待されることもある。

●アスレチック・カーニバル、スイミング・カーニバル
 あえて日本語に訳すとアスレチック・カーニバルは運動会、スイミング・カーニバルは水泳大会となる。しかし趣はだいぶ異なる。公立校の場合を例に挙げると、アスレチック・カーニバルは平日に行われ、イベントというより運動能力を測定するようなイメージである。スイミング・カーニバルは、公共のプール施設で行われる。オーストラリアではほとんどの学校にプールがないためである。水泳の授業は公共のプール施設で毎年2週間ほど行われる。

●シラバス
 NSW州ではイヤーごとではなくステージ(Stage)(図1)ごとに、学校で学ぶ内容と指針が設定されている。これをシラバスと呼んでいる。教科ごとの題材やアプローチは、各学校やその学校の教師に任されている。

●携帯電話の利用制限
 携帯電話や電子通信機器は利用しないように指導されている。特に授業中の電話の使用は一切禁止されている。生徒への連絡は学校事務所を通すのが基本で、保護者もやむを得ない事情以外は子どもに連絡を取らない。

●スクール・カウンセラーの配備
 多くの学校にはスクール・カウンセラーがいて、学校や家庭で問題を抱える生徒たちの援助を行う。学習や生活態度について生徒や保護者にカウンセリングし、良好な学校生活が送れるように支援している。

●保護者の送迎
 初等教育では保護者が送迎をする。学校の終業時、子どもたちは決まった場所に集まり、教師と一緒に保護者の迎えを待つ。通学距離によっては「School Student Transport Scheme(SSTS)」という制度を通じて、通学にかかる費用に対して補助が出る場合がある。
 学校もしくは学校の近くのコミュニティ・ホールなどで「Outside School Hours Care」と呼ばれる、学校の就業時間外に有料で子どもを預かるサービスもある。「MyChild」で検索できる(記事末リスト参照)。

●成績表
 成績表はスクール・レポートと呼ばれ、通常ターム2と4の終わりに保護者宛てに送られる。ほとんどの学校で、保護者と教師が生徒の学習状況を話し合う面接が夕方から夜にかけて開かれる。

図1 NSW州と日本の教育制度比較

学力評価、実習・補習

 オーストラリアでは、子どもたちの学年などに応じて、さまざまな目的を持った学力評価試験が定期的に行われている(試験の名称は州によって異なる)。また、スキルアップあるいはフォローアップのための実習や補習なども用意されている。

●「Best Start Kindergarten Assessment」
 キンディーでは新入生に対して「Best Start Kindergarten Assessment」と呼ばれる能力評価が実施される。教師は子どもたちの初歩的な読み書き能力や他人とのコミュニケーション能力、数字や図形に対する認識力などを把握する。これは決して子どもの能力の優劣を測るためのものではなく、教師が子どもの指導をする上で個々に合った有効な計画を立てるためのものである。キンディー入学までに、読み書きや算数のスキルを身に付けておく必要はない。

●「NAPLAN」
「National Assessment Program – Literacy and Numeracy(NAPLAN) (全国評価プログラムー読み書き能力と計算能力)」と呼ばれるテストが、公立校、私立校問わず、イヤー3、イヤー5、イヤー7、イヤー9の生徒を対象に毎年実施される。これは主に教師が生徒の基礎学力を測り、授業の計画を立てるために行うものである。

●「Opportunity Class Placement Test」
「Opportunity Class(以下、OC)」とは、イヤー5およびイヤー6の学力が優秀な生徒のために、知的欲求を満たす教育の場を提供するクラス。OCに入るための試験が「Opportunity Class Placement Test」。OCはすべての公立小学校に設置されているわけではないため、自分が通う小学校にない場合は、設置されている学校に転校することになる。受験資格は永住権または市民権保持者となっている。

●「Selective high school test」
「Selective high school」は、OCと同様学力が優秀な生徒を対象に教育の場を提供する公立校である。進学志望者は、イヤー5の10月ごろ願書を入手し、11月半ばに提出。翌3月半ばにテストが行われ、7月に結果発表となる。OC同様、通っている私立校、公立校に関係なく受験できるが、受験資格は永住権または市民権保持者である。

●「ESSA」
 イヤー8 では、「Essential Secondary Science Assessment(ESSA)」という学力テストが毎年11月末に行われる。日本語では「中等教育科学基礎学力評価」と訳される。生徒が科学の知識をどれだけ理解し、応用できるかを評価するもの。

●「School Certificate test」
 イヤー10修了時には、成績証明・義務教育修了証明書(RoSA)が授与されるが、このためには必ず州統一の試験である「School Certificate Test」を受ける必要がある。

●「Higher School Certificate Examination(HSC)」
 イヤー12卒業時に行われるNS W州の高等学校卒業認定試験( 州により異なる名称で実施)。このHSCの結果に学校の成績や評価を加味して算出される「Australian Tertiary Admission Rank(略称ATAR)」と呼ばれる評価点によって、どこの大学に進学できるかが決まる。オーストラリアの大学は、実技試験が必要なものなどを除き、基本的に大学別の入学試験は実施していない。

●「International Competitions and Assessments for Schools(ICAS)」
 希望者のみが参加するテスト。世界20カ国以上の国で行われている国際教育到達度比較調査で、ニューサウスウェールズ大学(UNSW)が主催している。プライマリー・スクールとハイ・スクールの生徒が受けられる。

●「Work Studies」
 イヤー9またはイヤー10で行われる職場実習である。学校によってはイヤー11またはイヤー12で行う場合もある。興味関心がある職場や会社にアポイントを取ることから始め、通常1週間、授業に出席する代わりに職場に出勤する。

●「ESL」
 NSW州の公立校では、英語を母国語としない生徒のために、「ESL(English as a Second Language)」クラスを設けている。一般的に「取り出し授業」と呼ばれる形式で行われることが多い。クラスの規模や実施頻度は、該当する生徒の数や対応できる教師数などによって学校ごとに異なる。

日本人学校と補習校

●日本人学校
 シドニー日本人学校は、NSW州の教育・地域社会省の認可を受けた私立学校である。また日本の文部科学省から義務教育課程と同等の教育を行う在外教育施設として認可されている学校でもある。将来日本に帰国する予定がある人や、日本の学校と同レベルの日本語を維持したい場合などは、シドニー日本人学校に通うという選択肢もある。また、シドニー日本人学校の特徴として、オーストラリアのカリキュラムで運営する「国際学級(キンディー〜イヤー6)」を併設していることも挙げられ、日本人学級と国際学級との交流も行われている。

●日本語補習授業校
 平日の放課後や週末に開講している補習授業校(略称:補習校)は、国語などを教えている。国語では年齢相応の語彙を身に付けることを目標とするなど、日本語の応用力の土台を作る役割も担っている。また勉強の補習を行うだけではなく、日本や日本文化の窓口としての重要な役割も果たしている。日本の伝統行事や生活習慣を同世代の日本人の子どもと楽しく学ぶ機会もある。


関連情報サイト
■NSW Department of Education and Communities(DEC)日本語サイト(NSW州教育・地域社会省)
 Web: www.schools.nsw.edu.au/languagesupport/language/japanese.php
■MyChild
 Web: www.mychild.gov.au/sites/mychild
■Board of Studies, Teaching and Educational Standards NSW (BOSTES)(NSW州教育委員会)
 Web: www.boardofstudies.nsw.edu.au
■NSW Department of Education and Communities(DEC)(NSW州教育・地域社会省)
 Web: www.dec.nsw.gov.au

取材協力/監修:内野尚子(うちのなおこ)氏
プロフィール◎96年よりシドニー在住。11年間ローカルの幼児教育機関で教師「Authorized Supervisor」を務める。元日本語補習授業校代表兼教師。幼児から大人のための総合教育センター「Universal Kids(旧子どもクラブ)www.universalkids.com.au」の代表。NPO日豪教育サポート・グループを通して在豪日本人のための現地教育のシラバスやバイリンガル教育の情報共有に努めている。また、ニーズに合わせたセミナーも開催。

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