秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)/福島先生の人生日々勉強

福島先生の人生日々勉強
秋霜烈日(しゅうそうれつじつ)

心理学者ジョージ・ケリング博士が提唱した「割れ窓理論」(建物の窓ガラスを1枚割れたまま放置しておくと、その建物は十分に管理されていないと思われ、やがて他の窓も壊されて荒廃してしまうという考え方)は、ニューヨーク市の犯罪対策や、ディズニーランドのサービス向上など、あらゆる分野や状況において、多大な効果を上げてきました。かつてアップル社のスティーブ・ジョブズ氏も活用した、この割れ窓理論に依拠して始まった学校の教育方針の1つに「ゼロ・トレランス方式」というものがあります。端的に言えば、ルール違反には厳罰をもって臨みましょうという教育方法なのですが、これを家庭に照らし合わせると、どういうことが言えるでしょうか。

子どもの人権を守ることは何よりも大切なことです。しかし、むやみに甘やかすことは、決して子どものためになりません。必要なときに親が巌(いわお)とならねば、子どもは全うに育ちません。ルール違反は絶対に許しません、という断固としたスタンスは、わが子に義務と責任を理解させるために、非常に重要な躾(しつけ)のかなめです。

厳罰は虐待につながるのではないかというとそうではなく、むしろ子どもを甘やかして育てている家庭のほうが虐待や暴力事件を抱えることが多いという現実があります。一度許したことが、二度になり、三度になり、収拾がつかなくなってしまうのです。悪い芽というのは、誰にでも幾つでも出てくるものですが、そういう芽は小さいうちに1つひとつ丁寧に摘んでおかないと、いずれ自分の力では手に負えなくなります。

ここでうっかりしてはいけないのが、ただ叱るだけでは意味を持たぬことがあるということ。叱られることそのものが罰となり、躾となる場合はそれで良いのですが、叱られても胸が痛まないような場合には、何かしらの「罰」を与える必要があります。罰を与えたりするとひねくれるのでは、と思われがちですが、「悪いことをするとばちが当たる」という感覚は、最も原始的でありながら、心と体に染み入る素朴で大切な経験なのです。

大人になるにつれ、自分を叱ってくれる人は少なくなってしまいます。果たしてその時に、自分で自分を戒めることができるかどうか、そこで人格が試されます。心のゴミを1つ放置すると、あっという間に全体がゴミだらけになります。人生修業上の怠りや過失に対しては、秋霜烈日、忘れてはなりません。許してはなりません。悪いことをしたな、と思ったら、自分で自分をちゃんと叱って「厳罰」を与えるのです。大切な人のために、社会のために、そして何より、自分のために。

1つの過失を感じたら二度としないと心掛け、毎朝、厳かに誓いを立て、背かず生き抜く決心を、夜眠りにつくまでの1日の間、勇気を胸に実行し続けましょう。誠実に、志高く、朗らかに、人生を生きるのです。


福島先生の教育指導

教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。31年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。1992年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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