愛するということ

福島先生の教育指導

福島先生の人生日々勉強
愛するということ

「家族という身近なものの気持ちを十分に理解することによって、初めて遠いところにある国民の気持ちを実感して理解できるのではないかと思っています。子どもたちに対しても家庭を大切にするように教えてきたつもりです」。昭和59年に結婚25周年を迎えられた天皇陛下が、記者から感想を尋ねられておっしゃったこの言葉は、家族、家庭というものの真実を明確に示したものでした。人は最も近い他者である家族を思うことができて初めて、家族以外の他者を思いやることができるのです。毎晩遅くに帰宅し、会話も少なく、パートナーに対して横柄な態度を取り、子どもの教育もきちんとしない。例えば、そのような人が、他者と信頼関係を築いたり、部下を率いて仕事をより善く進めたりなど、できるものではありません。

平和と喜びを祈り続けたマザー・テレサは、愛についてこう教えています。「家族をまず優先してください。もしあなたが家庭にいなければ、どうやってあなたの愛が人々に向かって育っていくのでしょうか。愛は家庭から始まるのです。たくさんの時間を家族と一緒に過ごすようにしましょう。もし人々が本当に家庭を愛するならば、私たち人間は多くの過ちを避けることができるでしょう。あなたの家族を放っておいてはいけません。もっと家にいるようにしましょう」

日本は物質的には豊かですが、少なからぬ精神的な飢えがあります。家族が互いに顔を合わせたり、語り合ったり、与え合ったりする時間が全く足りていないのです。「愛の飢え」です。愛の飢えを見過ごしてまで忙しくするというのは、文字通り心を亡くしているということです。愛されていない、大切に思われていないと感じる心の飢えは、愛でしか、その苦しみを取り除くことができません。愛するとは、浮ついた感情や言葉ではなく、行いです。痛みを伴う意志と努力です。家族で過ごせる時間を増やす、毎日1度は一緒に食事をする、今日あった出来事を報告し、感じたことを語り合うなど、さまざまな工夫ができるでしょう。第一に必要なことは、そばにいて、ほほ笑むことです。

子どもたちの心の中に、家庭に対する愛を育てることが、平和へのともしびとなります。家庭がしっかりと結ばれ、家族が同じ方向を向いて、同じものを見つめ、同じ心で祈ることで、子どもたちは、自分たちの国を、社会を、この世界を、愛と感謝に満ちた場所にしていくことができるのです。家族で過ごす毎日を何より大切にし、わずかなまなざしにも、ちょっとしたほほ笑みにも、精一杯の愛を込めましょう。それから外へと広げていくのです。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。28年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。19 92年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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