今この瞬間の自分を見極める

福島先生の教育指導

福島先生の人生日々勉強
今この瞬間の自分を見極める

仏教の教えにはいつも反省させられるばかりですが、特に「三毒」に対しては日ごろから自問の習慣を持っておくべきだと思っています。「三毒」とは、「貪(とん)」「瞋(じん)」「癡(ち)」の3つのこと。1つ目の「貪(とん)」とは貪りの心のことです。際限なく欲しがり、欲しいものに執着する心のことです。2つ目の「瞋(じん)」は、自己中心的な心で怒ることです。些細なことで怒りを覚え、攻撃的な振る舞いをすること。また恐ろしい形相をして、美しくない言葉で相手を罵ったりすることです。3つ目の「癡(ち)」というのは、愚かさのことです。物事の道理に暗く、自分の気持ちの赴くままに行動し、周囲の人のことを考えず、道徳心を持たず、教養に欠けているということです。私たちは、この三毒に支配されている限り、心穏やかに暮らすことはできません。

自分に執着するのは生き抜くための本能ですし、自分のことを大切に思う気持ちはあって当然です。しかし、自分への執着があまりにも強過ぎると、三毒にまみれ、自分自身を苦しめることになります。常軌を逸した怒りの感情も、道徳心の欠如も、すべては身勝手な心から生まれています。相手のことを思いやっていれば、三毒に埋もれてしまうことはないはずです。罵倒したり、裏切ったりして相手を傷つける人の心には、自己中心的な考え方があるのです。しかし、心が暴発すれば、自分自身に対しても壊滅的な被害を与えます。未熟な心は、自分に対しても他人に対しても攻撃をしかけてしまうのです。

私たちの世界は争いなしでは語れません。戦争や紛争も起こりますし、家庭では夫婦喧嘩も起こります。子どもも問題を起こします。人の心は蛍の光と同じく、人と人とで同期しますから、争いが争いを喚起し、広がり、この世はただただ争いに尽きると言っても過言ではありません。争いが解決されないのは、自分自身の心のありように気が付かないで生きているからです。自分自身に目を向けない人は、聞く耳も持てず、あっという間に三毒に飲み込まれ、争いを引き起こし、相手を巻き込みながら争いの渦の中に入ってしまいます。

よくないと分かっているのに、怒ってしまう、暴言を吐いてしまう。気を付けていても、いざとなるとまた同じようなことをしてしまう。それは人間の弱さです。しかし、開き直っていてはいつまでも未熟なままで、自分にも他人にも迷惑を掛け続けることになります。ですから、今の自分の心の動きを明察することが大切です。今、口にしている言葉、目の動き、手の動き。自分勝手な行動ではないかどうか。思いやりはあるかどうか。心を浄める方法は、「今この瞬間の自分自身を見極めること」にあります。自らを見極め、浄めて、怒りや憎しみではなく、優しさや慈しみといった美しい心を、同期させていきたいですね。


教育専門家:福島 摂子
大阪府出身。29年間、教育に携わり、教育カウンセリング・海外帰国子女指導を主に手がける。19 92年に来豪。シドニーに私塾『福島塾』を開き、社会に奉仕する創造的な人間を育てることを使命として、幼児から大学生までの指導を行う。2005年10月より拠点を日本へ移し、日々活動の幅を広げていく一方で、オーストラリア在住者に対する情報提供やカウンセリング指導も継続中である。

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