フレンチ・ブルドッグのような短頭犬種を飼育する上での注意点

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Q

今度フレンチ・ブルドッグを飼おうと思っています。鼻ぺちゃ犬(短頭犬種)は呼吸器に問題が起こりやすいと聞きましたが、特に気を付けておくべきことなどのアドバイスはありますか。教えてください。(20代女性=会社員)

A

フレンチ・ブルドッグやパグなど、鼻先の短い犬種を短頭種と言います。これらの犬種は短い頭蓋骨(ずがいこつ)の形に対し、外側を覆う軟部組織(皮膚や口の中の粘膜)が多いため、余分なしわやたるみなどによるさまざまな弊害が出てしまいます。主に呼吸器に影響が出るため、これらを総称した病名を「短頭種気道症候群」(Brachycephalic Airway Syndrome)と言います。

原因

鼻の穴と鼻腔が狭くなっている「鼻腔狭窄(びくうきょうさく)」、軟口蓋(なんこうがい)(気管と食道を仕切る上あごの奥の柔らかい部分)が長い「軟口蓋過長(かちょう)」など、空気の通り道が狭まっているため、呼吸をするのに余計な負担が掛かります。息を吸う度に気道に強い圧力が掛かるので、それが更に喉頭室(こうとうしつ)(声帯のすぐ前にあるくぼみ)が気道内に飛び出てしまう「喉頭室外反(がいはん)」などを引き起こし、更に気道を狭くする悪循環を作り出します。

かかりやすい犬種はブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、ボストン・テリアなどです。

症状

症状としては、寝ている時のうるさいいびきと、興奮時の豚のような呼吸音が特徴です。鼻からの呼吸が難しいため、口を開けてハァハァすることが多く、症状が重い場合は少しの興奮で舌が青くなるチアノーゼが出ることもあります。また、効率良く呼吸ができない短頭種は体温調節が苦手なため、熱中症にもかかりやすくなってしまいます。重度の場合は失神や呼吸困難など、命に関わることもあります。

診断

鼻孔狭窄は身体検査で診断が付きます。のどの奥の軟口蓋過長や喉頭室外反は、鎮静剤を使っての検査が必要になります。

治療

症状が軽い場合は、現状維持を基本とした保存療法が行われます。体重が増えると余計な脂肪で首周りが、更に圧迫されるため体重管理はとても重要です。

散歩時は、のどや気道に負担を掛けないよう首輪でなくハーネスを使用し、気温と湿度が高い時は外出を控えます。また、興奮が呼吸困難の引き金になるため、普段から興奮させないことも重要です。

症状が重い場合には、外科手術による治療が行われます。鼻の穴を大きく広げる手術、軟口蓋の垂れ下がった部分を切除する手術、反転した喉頭室を取り除く手術などがあります。呼吸困難が明らかな場合は、できるだけ早くこれらの形成手術を行った方が予後が良くなります。生まれつき鼻腔の狭い犬は、避妊または去勢手術を受けるのと同時に鼻の穴の形成手術を行っておくと、喉頭室外反や、更にはそこから進行した「気管虚脱」などの重篤な病気を予防することができます。

短頭種は呼吸器以外にも、顔の周りの余分が皮膚がひだになり、眼球とこすれて慢性的な結膜炎を起こしたり、ひだの間で細菌が繁殖して皮膚炎を起こしたりなど、生まれつきの体型による問題が出てきます。

*オーストラリアで生活していて、不思議に思ったこと、日本と勝手が違って分からないこと、困っていることなどがありましたら、当コーナーで専門家に相談してみましょう。質問は、相談者の性別・年齢・職業を明記した上で、Eメール(npeditor@nichigo.com.au)、ファクス(02-9211-1722)、または郵送で「日豪プレス編集部・何でも相談係」までお送りください。お寄せいただいたご相談は、紙面に掲載させていただく場合があります。個別にご返答はいたしませんので、ご了承ください。


戸塚 遊喜(とつか ゆき)
Chatswood Veterinary Clinic

シドニーの現地校を卒業後、シドニー大学の獣医学部を卒業。現在、シドニーのノースショアにある小動物専門病院「チャッツウッド・ベタリナリー・クリニック」に勤務。動物の鍼灸師の資格を保持している。

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