ルーシーのアート通信「Kombemerri Country」

ルーシーのアート通信

オーストラリアのアート業界で活躍中のコラムニスト・ルーシーが
オーストラリアを中心に活躍するアーティストと彼らの作品をご紹介。

第10回 グンピ・ウゲラバ(Goompi Ugerabah)
「Kombemerri Country」

'Kombemerri Country' by Goompi Ugerabah. Acrylic on canvas, 140 x 190 cm
‘Kombemerri Country’ by Goompi Ugerabah. Acrylic on canvas, 140 x 190 cm

グンピ・ウゲラバは、ゴールドコーストを拠点に活動するアボリジナル現代アーティストである。クイーンズランド州メリーバラ付近に住むグレング・グレング人を先祖に持つ誇り高いアボリジニーで、グンピという名はゴアナの生息地の動物「ポッサム」を意味している。

彼は、多くの同世代のアボリジナル・アーティストと同様に南洋諸島(レナ島)、スリランカ、アイルランド、スコットランド、そしてフランスの血を引くマルチレイシャルだ。幼いころから先祖のアボリジニーの風習を身に付け、物語や踊り、音楽、言語、歌、絵画を通して「文化」を表現してきた。

グンピが所属するダンス・グループ「Bundjalung Kunjiel」は、スティーブ・アーウィンの「ワイルドライフ・ウォーリアーズ」のチャリティーの一環としてロサンゼルスで行われる「スティーブ・アーウィン・ガラ・ディナー」で、毎年歌や物語を披露している。

彼の作品は、ワクワクさせられたり目を引くようなグラフィック・デザインの技巧が凝らされ、大きなドットやモノクロの色調が印象的だ。派手な色合いや自然色が特徴的である鮮やかな他のアボリジナル・アートとは異なり、印象的なモノクロのデザインを引き立たせるため、淡い青や緑、茶を用いることがあるという。グンピは、各作品のキャンバスの裏に視覚と連動する物語を書き加え、地域沿岸部を代表して作品を保存している部族としての名前と、画家としての名前をサインすることにより、部族の踊りや歌を作品に融合させている。作品を通して世界中の次世代の人たちに自分たちの祖先や土地を理解してもらい、携わってもらうことで彼らの「文化」を活気付かせようとしているのだ。

今回紹介する「Kombemerri Country」は、オーストラリアの東側沿岸部に続くゴールドコーストのコンベメリーという地域が描かれ、3つの河川と2つの河口部の岬、そして潮だまりや熱帯地域の奥地にある山が表現されている。また、彼は独特の地形や祖先との出会いの地を描写するため、細かいドットや入り組んだ線を描いている。同作を観ていると、グンピが生まれ育ったのコンベメリーへの愛着が伝わり、表現されている柄や印から躍動感やエネルギーが感じ取れる。

グンピは、「アボリジニーの子孫として、これまでずっとこの地の文化を習ってきた。この土地や景観と1つになると、私が生まれる前の祖先とこの地を結びつけてくれるような崇高な力を感じる。ここが私のホームだ」と語る。

■Web: www.gallery-one.com.au/artist/goompi-ugerabah
■Instagram: goompi_ugerabah


ルーシー・マイルス(Lucy Miles)
オーストラリアと日本のアート業界で25年以上の経歴を持つ。クイーンズランド・カレッジ・オブ・アート並びにグリフィス大学でファイン・アート(ペインティング)の美術学士、クイーンズランド大学では美術史の優等学位を取得。現在、QLD州のサウスポートを拠点にファイン・アート・コンサルタントとして活躍中。
■Instagram: lucy_nsky
■Web: www.luceartbrands.com.au

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