2015年7月 ニュース/総合


「イスラム国」(IS)を名乗る過激派勢力の戦闘員(Photo:AFP)

テロリストの豪国籍はく奪可能に

市民権法改正へ-連邦政府

連邦政府は6月24日、テロリストのオーストラリア国籍をはく奪することを可能にする市民権法改正案を連邦議会に提出した。テロ行為に関与した二重国籍保持者が対象。「イスラム国」を名乗る過激派勢力(IS)や同調者による無差別攻撃の脅威が広がる中で、テロリストを追放する姿勢を鮮明にする。

連邦市民権法35条が定めた「オーストラリアと交戦中の他国の軍隊に参加した多国籍保持者はオーストラリア国籍を失う」との規定を改正する。国籍はく奪の対象として新たに「テロに関与した者」を加え、政府の決定を裁判所が審理できるようにする。最大野党の労働党は当初、連邦移住相に国籍はく奪の強い権限を持たせた政府の原案に難色を示し、与党保守連合(自由党、国民党)内にも慎重な意見が出ていた。このため、政府は新法の制定ではなく既存の市民権法を改正する方針に転換した。

これにより、与党内の慎重派は支持に転じた。労働党も「二重国籍を持つデーシュ(ISの別称)の戦闘員がオーストラリアに帰国することは、誰も望まない」(ビル・ショーテン党首)として、市民権法の改正には前向きの姿勢を示した。改正案は与野党の賛成で可決する可能性が出てきている。

改正案が成立すれば、オーストラリアの移民政策の転換点になる。現行の市民権法35条が実際に適用された例はないとされるが、法改正後は海外のオーストラリア人テロリストや国内の協力者などに幅広く適用される可能性がある。議会審議では、法律を過去にさかのぼって適用すべきかどうかが大きな焦点となる。

ただ、法改正をめぐっては憲法上の問題も指摘されている。地元メディアによると、政府が国籍はく奪を決定する仕組みについて一部の憲法学者は、立法・司法・行政の分離を定めた憲法に違反する恐れがあると主張している。最高裁が違憲と判断すれば、法改正が却下となる可能性があるという。

オーストラリア国防軍は昨年10月以来、米・英など有志連合によるISへの空爆に参加している。その一方で、イラク北部やシリアなどでは多数のオーストラリア人がISの戦闘に加わっているとされる。過激思想に傾倒した若者らがソーシャル・メディアなどで勧誘され、中東に渡航している模様だ。

同時に、国内ではテロ容疑者の捜索が相次いでいる。過激な単独犯による犯行も起きている。また、昨年9月にはメルボルンで18歳の少年が警官2人を刃物で斬り付け、その場で射殺された。また、同年12月にはシドニー市内のカフェで男が立てこもり、銃撃戦で容疑者が射殺され、人質2人が犠牲になった。

テロリストの国籍はく奪はアボット政権が進める対テロ強化策の一環。政府は昨年から通信傍受など警察の対テロ捜査の権限を大幅に拡大する法改正を進めてきたほか、5月に発表した新年度予算でもテロ対策に4億5,000万ドルの追加支出を決めるなど予算を大幅に増額している。


豪国籍の2人死亡か
イラクで戦闘中のIS参加者

イラクで「イスラム国」を名乗る過激派勢力(IS)に参加し、残酷な写真をソーシャル・メディアに投稿していたオーストラリア人の男2人が6月、戦闘中に死亡した模様だ。6月23日付の公共放送ABCが伝えた。

死亡が報じられたのは、オーストラリアの警察の指名手配を受けていたカレド・シャルーフ容疑者とモハメッド・エロマー容疑者。2人はISが制圧しているイラク北部の中心都市モスルで、6月第3週に有志連合の無人機(ドローン)の空爆を受け、死亡したという。連邦政府は同日の時点で2人の死亡を正式に確認していない。

2人は2013年にオーストラリアを出国し、シリア経由でイラクに入ったとされる。殺害したシリア政府軍やイラク政府関係者の切断した頭部の写真をソーシャル・メディアに投稿して有名になり、イラクの少数派ヤジディ教徒の女性を誘拐して奴隷化していたとの証言も明るみに出た。ともに過激思想に傾倒した若者を海外からISに勧誘する宣伝活動に就いていたとみられる。



6月3日に日本を訪問して安倍晋三首相、中谷元防衛相と会談、4日に神戸市で潜水艦を建造している造船所を視察したケビン・アンドリューズ国防相

アンドリューズ国防相が訪日

潜水艦、「緊密に協議」—日豪防衛相会談

豪州のケビン・アンドリューズ国防相は6月2~4日、日本を訪問した。国防相は3日、安倍晋三首相を表敬し、中谷元防衛相と日豪防衛相会談を行った。4日には神戸市を訪れ、海上自衛隊の潜水艦を建造している川崎重工業神戸工場と三菱重工神戸造船所を視察した。

安倍首相は、日豪の安保協力が地域の平和と安定に寄与するとの認識から「今後、豪州との防衛協力がいっそう緊密になること」に期待を示した。国防相は日豪の戦略的パートナーとしての重要性がますます高まっていると指摘した。日本が参画を目指す豪州の次期潜水艦共同開発計画については、安倍首相が「我が国として引き続き協力を行っていきたい」と述べた。

また、防衛相会談では、中谷防衛相が新たな日米防衛協力のための指針と平和安全法制について説明し、国防相はこれを支持すると表明した。両相は、日豪防衛協力の推進と、次期潜水艦について両国が緊密に協議していくことで一致した。両相は「南シナ海における力による一方的な現状変更に対して強く反対し、中国による埋め立てに対する深刻な懸念を共有し、国際法に従った解決を求めていくこと」で一致した。

豪州はコリンズ級潜水艦の後継となる次世代潜水艦の開発を計画中。通常動力型潜水艦の建造では高い技術を持つとされる日本からの導入が有力視されてきた。アボット政権は今年2月、日本、ドイツ、フランスのいずれかと共同開発する方針を表明。SA州を拠点とする造船所の雇用確保を念頭に、政府は主要な建造工程は国内で行うことも想定している。これを受けて、日本政府は5月、共同開発相手国選定の手続きに参加することを決めた。


国際政治学者の藤井厳喜氏が講演
「日・豪・米・中をめぐる新たな政治・経済関係の行方」

国際政治学者・未来学者で拓殖大学日本文化研究所教授の藤井厳喜氏が7月20日、シドニー市内で「日・豪・米・中をめぐる新たな政治・経済関係の行方」をテーマに講演会を行う。オーストラリア・ジャパン・コミュニティー・ネットワーク(AJCN)が主催する。

中国の台頭を念頭に日・米・豪がアジア・太平洋地域の平和と安定を維持するため新しい同盟関係を構築する中で、藤井氏は国際政治や経済、安保を含む総合的な視点から、新しい段階に入った地域を取り巻く環境について語る。聴講を希望する人は、7月19日までにEメールで下記アドレスに申し込む。16日にブリスベン、18日にメルボルンでも講演する。

■藤井厳喜氏講演会
日時:7月20日(月)5:30PM〜7PM(開場5PM)
会場:Dugherty Communiy Centre Function Room, Willoughby Council (7 Victor St., Chatswood NSW)
参加費:無料
問い合わせ・申し込みEmail: jcnaus@googlegroups.com(AJCN江川さん)


食とワイン、日本人観光客に訴求

オーストラリア政府観光局

5月29日、東京都内で行われた調印式。左から、オーストラリア政府観光局(TA)の井上マーケティング部長、カカクコムの中村執行役員、カカクコムの村上取締役、ミラー駐日オーストラリア大使、TAのオサリバン本局局長、クックパッドの堀口執行役、TAのライリー日本・韓国局長、クックパッドの片桐広告事業部部長(Photo: Tourism Australia)

オーストラリア政府観光局(ツーリズム・オーストラリア=TA)が、「食とワイン」を海外観光客市場に売り込んでいる。日本市場でも「美食大陸オーストラリア」をテーマに、オーストラリアの食とワインの魅力を訴求している。大手レシピ・サイトを運営するクックパッドと、大手グルメ・サイト「食べログ」を運営するカカクコムの2社との連携でこのほど合意し、5月29日には東京都内で調印式が行われた。

クックパッドでは29日、サイト内に新コーナー「オーストラリア観光局の公式キッチン」を開設した。ラム肉やフィンガー・ライム、マカダミア・ナッツなどのオーストラリア特産の食材を使ったレシピを紹介。オーストラリアの著名シェフや料理研究家の特別レシピも公開していく。

また、食べログではオーストラリア国内のレストランを紹介するアプリを7月上旬に公開する。アプリは現地在住者が薦めるレストランの情報も検索でき、旅行中や旅行を計画中の人に役立つツールとなりそうだ。合わせて、特設ページでは日本でオーストラリア料理が食べられるレストランも紹介する。

TAはキャンペーンについて「安心・安全で新鮮な食材と、多民族国家ならではの独創性の高い料理、壮大な自然や街中や海沿いなど心をつかむ景色の中での食体験を通じてオーストラリアへの旅行を促進する」とコメントした。


5月29日、ホテル日航東京で旅行業界関係者らを招いて開かれた「ロング・テーブル・ディナー」のもよう(Photo: Tourism Australia)

さらに、TAはホテル日航東京で29日、同キャンペーンの一環で、夕食会「レストラン・オーストラリア・ロングテーブル・ディナー」を開催した。夜空の下、同ホテル2階野外デッキに約80メートルの長いテーブルを設置し、こだわりの豪州産食材を使ったディナーを旅行業界やメディアの関係者にふるまった。

この夜のメニューは、オーストラリアの料理人、マシュー・クラブ氏が手がけた。クラブ氏は、東京・青山の高級レストラン「トゥー・ルームズ・グリル&バー」のエグゼクティブ・シェフを務めている。メニューは同店で5月30日~6月30日、期間限定の「美食大陸オーストラリア特別コース」としても提供された。

 

美食切り口に需要喚起、供給面でも追い風

オーストラリア政府機関「ツーリズム・リサーチ・オーストラリア」が6月21日に発表した訪問者数統計によると、2014年にオーストラリアを訪れた日本人数は29万9,000人(国・地域別で6位)。前年比で1%の微増となったが、年間90万人以上の日本人が訪れた1990年代のピーク時と比べて3分の1以下に減少した。当時年間数万人にすぎなかったオーストラリア人の訪日者数が、14年には30万2,656人(前年比23.8%増=日本政府観光局)と大幅に伸びたのとは対照的だ。

日本市場でオーストラリア旅行需要が長期的に低迷した大きな要因としては、長引いたデフレで日本人の海外旅行の主流が低コストの近場で短く楽しめる「安・近・短」にシフトしたことがある。ハワイやバリを毎年のように訪れるような「リピーター」が根付かなかったことも、オーストラリアの不振の一因と指摘された。

そうした中でTAは今回、「美食」という販促の新戦略を打ち出した。かつての日本人観光ブームの時代は、オーストラリアの食事と言えば簡素な印象が強かったが、近年は経済成長や海外の食文化の影響で食材へのこだわりが強まり、独自のスタイルを持つ料理店も増えている。スクランブル・エッグで有名なシドニー発のカフェ・レストラン「ビルズ」が日本で成功するなど、食のオーストラリア・ブランドも少しずつ認知されてきた。

訪日客の増加を背景に航空会社がシドニー~羽田便の就航をはじめ増便に踏み切り、座席の供給面でも追い風が吹く。「食とワイン」を切り口に胃袋を刺激して何度も通うファンを増やし、送客数の回復につなげられるかどうかが注目される。


JALエコノミー座席に世界一の評価
ゆとりのスペースで長旅も疲れず

日本航空(JAL)のエコノミー・クラスの座席が、全世界の航空会社で最も優れていると評価された。パリ航空ショーで6月16日、航空会社や空港などの評価を手がける英スカイトラックス社の「2015年ワールド・エアライン・アワード」授賞式典が開かれ、JALは「ベスト・エコノミー・クラス・エアライン・シート」賞を初めて受賞した。JALの受賞は13年の「ベスト・ビジネス・クラス・エアライン・シート」に続いて2回目となる。それぞれの部門で日本の航空会社が受賞したのは初めて。

JALは13年1月以降、エコノミー・クラスの前後の座席間隔を約10センチ拡大して居住空間を拡大した「スカイワイダー」を国際線の777型機に「新・間隔エコノミー」として導入して以来、順次サービス路線を拡大している。

「スカイワイダ-」を導入した機材での運航が、シドニー発15年10月26日から16年3月26日まで決定しており、「新・間隔エコノミー」をシドニー~成田間で体験できる。「ワールド・エアライン・アワード」は、全世界の航空会社が評価対象。スカイトラックス社は、世界の航空会社のサービスや座席の快適性、空港・ラウンジの質などについて、世界中の航空利用客の顧客満足度調査の結果を毎年発表している。


タウンズビルで日豪米共同訓練
陸自東部方面隊約50人が参加

オーストラリア陸軍が主催する日・米・豪共同訓練「サザン・ジャッカルー15」が5月21日~6月19日、QLD州タウンズビル訓練場などで行われた。

日本からは陸上自衛隊の東部方面隊の約50人が参加し、戦術技量の向上とともに、豪・米軍との信頼関係の強化を図った。オーストラリア陸軍は約50人、米陸軍は約50人、米海兵隊は約50人が参加した。

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