2017年12月 ニュース/総合

祝福する同性婚推進派の人たち(Photo: AFP)
祝福する同性婚推進派の人たち(Photo: AFP)

同性婚、6割以上が「イエス」

連邦議会、年内に同性婚認める法改正へ

オーストラリア統計局(ABS)は11月15日、同性婚の是非を問う郵便調査の結果を発表した。「イエス」(賛成)と答えた人の割合は61.6%と「ノー」(反対)の38.4%を20ポイント以上、上回った。調査結果は法的拘束力を持たないが、これを受けて同性婚を認める婚姻法改正案が年内に連邦議会で可決・成立する見通し。来年初めには、国内初の合法的な同性夫婦が誕生する可能性が高まった。

調査は「同性カップルの婚姻を認める法改正を行うべきか?」の質問にイエスかノーの二択で答える簡素なものだ。義務投票制を採る通常の選挙と異なり回答は任意だが、有権者1,600万人以上のうち約1,278万人(白紙や無効回答を除く)が参加し、回答率は79.5%に達した。

クリスマスまでに成立を――首相

世論を二分した同性婚論争が、ひとまず決着する見通しとなった。マルコム・ターンブル首相は15日、会見で「国民は公平性と決意、愛情のために『イエス』に投票した。次は議会が(国民の声に)応える番だ」と述べ、今年のクリスマスまでに婚姻法改正案を成立させる意向を示した。

一方、反対派のトニー・アボット前首相は同日、フェイスブックの投稿で「『イエス』キャンペーンの成果を祝福する」と敗北を認めた。今後は反対派が重視する「信仰の自由」が法案にどう盛り込まれるかが最大の焦点となる。アボット氏らは、同性婚が合法化されれば、牧師が同性婚カップルの挙式を拒否できなくなるなど「信仰の自由が脅かされかねない」と主張してきた。

オーストラリアでは近年、同性カップルにも男女夫婦と同様の権利を認めるべきだとする声が高まり、伝統的な家族観を重んじる保守派との間で対立が深まっていた。

寛容の度合いに地域差

ABSの集計によると、全国の6州と准州・特別地域のうち、賛成の割合は首都特別地域(ACT)が74%と最も高かった。次にVIC州(64.9%)、WA州(63.7%)などの順に高かった。逆に最も賛成の割合が低かったのは、意外にも性的少数者(LGBT)運動の世界的な中心地シドニーを州都とするNSW州(57.8%)だった。

全国に150ある連邦議会の選挙区別で見ると、133選挙区で賛成が反対を上回り、反対が過半数を占めたのはわずか17選挙区だった。最も賛成の割合が多かったのは、共に賛成が83.7%に達したシドニー選挙区とメルボルン選挙区。いずれもLGBTの同僚や友人と接する機会の多い大都市中心部にある。ABSの国勢調査によると、シドニー中心部では局地的に同性カップルの割合が15%を超える住区もある。

ところが、シドニーの西方にあるブラックスランド選挙区は、賛成の割合が26.1%と全国で最低だった。同西郊のパラマタ選挙区も38.4%と6番目に低かった。賛成の割合が低い下位10選挙区のうち、これらの2選挙区を含む8つがNSW州内の選挙区だった。多様な価値観を包容する大都市の中心部と、少数派が受け入れられにくい周辺地域や地方では、LGBTに対する寛容の度合いも大きく異なる。そんなオーストラリア社会の実態が、改めて浮き彫りになったと言えそうだ。


与党労働党が続投へ QLD州議会選挙

QLD州議会(1院制、定数93)選挙の投票が11月25日、実施された。27日午後の時点で各党の各党の議席数は未確定だが、与党労働党が2期目の続投を決めそうだ。労働党は僅差で過半数を制するか、少数政権を樹立する可能性が高い。

公共放送ABCによると、75.1%の開票が終了した27日午後時点で、与党労働党は43議席が当選確実となった。最終的な獲得議席数は、過半数の47議席を1議席上回る48議席と予測されている。一方、最大野党の自由国民党は当選確実が35議席、予測獲得議席は40議席にとどまる見通し。その他の勢力は、「カッターのオーストラリア党」2議席、右派のワン・ネーション党1議席、左派の環境保護政党「グリーンズ」1議席、無所属1議席の合計5議席を確保すると見られている。

労働党のアナスタシア・パラシェイ党首は27日、最終議席数の確定を待って、閣僚人事に着手する考えを明らかにした。パラシェイ氏は前回の2015年州選挙で自由国民党を破り、3年ぶりに労働党政権を奪回して州首相に就任していた。


豪ペルーFTAが合意

市場アクセスは「TPPより幅広い」

豪州とペルーの自由貿易協定(FTA)交渉が11月10日、妥結した。両国の首脳と貿易担当大臣がマニラで合意した。両国議会での批准を経て発効する。

連邦政府の発表によると、豪州の対ペルー輸出の99%の関税が撤廃され、主に農産物の輸出拡大が見込まれる。

両国は共に環太平洋パートナーシップ協定(TPP)に参加している。米国抜きのTPP11(TPPイレブン)の最終合意を待たずに、2国間FTAの締結に踏み切った。今年5月末の交渉開始から妥結までわずか5カ月あまり。これまでの豪州のFTA交渉の中で最短のスピード合意となった。

マルコム・ターンブル首相は同日発表した声明で「豪ペルーFTAの市場アクセスはTPPより非常に幅広い。豪州の事業者にとって恩恵が大きい」と指摘した。

関税撤廃や非関税枠の拡大により、砂糖や乳製品、コメ、飼料用穀物のソルガム、畜産物などの輸出拡大を見込んでいる。豪州を訪れるペルー人留学生の増加も期待できる他、ペルーの鉱業や通信、金融などの産業への豪州企業の投資や参入にも追い風になるという。

連邦外務貿易省によると、人口約3,150万人のペルーは過去10年間でラテン・アメリカ諸国で指折りの高い経済成長を実現している。

2016年の豪ペルー間の貿易総額は5億9,000万ドルと前年比51.2%増加した。連邦政府はペルーとのFTA締結を機に、ラテン・アメリカで豪州の経済的存在感を強めたい考えだ。

豪州がFTAを締結する国・地域は、ペルーが11番目。南米ではチリ(09年発効)に続き2番目となる。資源・エネルギーや農産物の有力な輸出国である豪州では、貿易自由化が経済成長を支えてきたとの見方が多い。保守連合政権の下では、韓国(14年)、日本(15年)、中国(15年)と2国間の協定締結を加速させている。

豪州は現在、インド、インドネシア、香港とのFTAや経済連携協定、16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)などで交渉中。欧州連合(EU)とのFTAについても、交渉に向けたプロセスを開始することで2015年に合意している。


アマゾンの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏。インターネット黎明期の1995年に米国でアマゾン・ドット・コムを立ち上げ、世界最大手のオンライン小売企業に育てた
アマゾンの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏。インターネット黎明期の1995年に米国でアマゾン・ドット・コムを立ち上げ、世界最大手のオンライン小売企業に育てた

「黒船」アマゾン、豪州上陸

小売業界は戦々恐々

インターネット小売世界最大手の米アマゾン・ドット・コムが、年末商戦に合わせてオーストラリア市場に上陸する。11月24日午前の時点でアマゾンから公式発表はないが、クリスマス商戦が幕明けする同日の「ブラック・フライデー」以降、オーストラリア向けサイトの本格運用を始める。

全世界で約1,360億米ドル(2016年)を売り上げる巨人の参入に、オーストラリアの小売業界は危機感を強めている。公共放送ABC電子版(24日付)によると、ショッピング・センター(SC)国内最大手ウールワースのゴードン・ケアンズ会長は年次総会で「消費者のニーズに対応してサービスを強化しなければ、アマゾンのような企業に敗北するだろう」と述べた。

オーストラリアの消費者は既にアマゾンの米国版サイトに慣れ親しんでいる。調査会社ニールセンによると、オーストラリアの消費者は10月、アマゾンの米国版サイトに約460万回アクセスした。オンライン・ショッピング・サイトの中では、ウールワースのサイトの約670万回に次いで2番目に多く、SC国内2位のコールズ(約370万回)を大幅に上回った。

アマゾンのサービス開始によって、消費者の利便性は向上しそうだ。アマゾンは新市場参入の際にシェア拡大を優先し、採算を度外視した安売攻勢を仕掛けてきた。調査会社アイビス・ワールドのアナリストは、経済ニュース・サイト「ビジネス・インサイダー・オーストラリア」に「国内小売業者より30%安い値札で勝負を挑んでくる。価格に敏感なオーストラリアの消費者は好感するだろうが、小売企業へのダメージは大きい」と指摘した。

オンライン・ショッピングは既に豪州人の消費習慣を変革している。ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)の統計によると、2016/17年度(16年7月~17年6月)のオンライン小売売上高は約227億4,000万豪ドル(前年度比7.6%増)と、店頭販売の売上高の7.4%の規模に達した。豪州の消費者は、欧米の英語サイトから商品を購入することに抵抗感が少ない。リアル店舗で実物を確認したり試着したりした上で、同じ商品をより価格が低いオンライン・サイトで購入する消費スタイルも、若い世代を中心に定着している。

アマゾンの上陸は、1年で最も消費が活性化するクリスマス前後に向け個人消費を押し上げる効果が期待できるが、リアル店舗だけではなく既存のネット通販サイトにも打撃を与える可能性がある。低迷する百貨店や小売りチェーンなどの業界再編も加速させるインパクトも秘めていそうだ。

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