2018年2月 ニュース/コミュニティー

シドニー・ウィルチェア・テニス・オープンで優勝を果たした上地選手(左)と国枝選手(右)(写真:山内亮治、以下同)

シドニー・ウィルチェア・テニス・オープンで優勝を果たした上地選手(左)と国枝選手(右)(写真:山内亮治、以下同)

シドニー車いすテニス・オープン

国枝・上地、男女アベック優勝

1月9日から13日、シドニー西郊ブラックタウン及びオリンピック・パークで「2018シドニー・ウィルチェア・テニス・オープン」が開催され、最終日、シドニー・オリンピック・パーク・テニス・センターで行われた男女シングルス決勝には国枝慎吾選手(33歳、5位 ※世界ランキング)、上地結衣選手(23歳、1位)が登場、それぞれ同大会での優勝を果たした。同大会はグランド・スラムに次ぐレベルのITFスーパー・シリーズに位置付けられており、今大会での優勝は同月24日からの全豪オープンに向け両選手にとって大きな弾みとなる結果となった。

同日、1試合目に行われた女子シングルス決勝で上地選手は、アニク・ファン・クート選手(オランダ、27歳、3位)と対戦。第1セットを、最初のサービス・ゲームからブレイクを許すなど波に乗り切れず3-6で落としたものの、その後は6-2、6-3と2セットを奪い返し1時間53分に及んだ熱戦を制した。同選手は試合後「強い風にボールが押されサーブを含めなかなか思うようなプレーができなかった」と振り返りながらも、「全豪は昨年初めてシングルスで優勝できた大会。今年も優勝を目指し、気負わず自分のプレーに集中したい」と目前に迫ったグランド・スラム初戦への意気込みを述べた。

気迫溢れるプレーを見せる国枝選手

気迫溢れるプレーを見せる国枝選手
難しいゲームを制した上地選手

難しいゲームを制した上地選手

2試合目となった男子シングルス決勝で国枝選手はアルフィー・ヒューイット選手(イギリス、20歳、2位)と対戦、6-4、6-4と安定した戦いを見せ勝利した。同選手は昨年に右ひじの故障から復帰したが、今大会での優勝に対して「復帰後から改造してきたフォームがここにきてうまく機能している感触を大会を通し得ることができた」と自身の状態の良さをコメント。また「今日のように良いプレーができたのは復帰して初めてだと思う。決勝の相手も今世界で最も良いプレーをする選手の1人で、そうした選手に勝てたことは自信になった」と今シーズンの活躍へ手応えを語った。


エビフライのプロシュート巻きなど、和と洋を融合した料理が振る舞われた

エビフライのプロシュート巻きなど、和と洋を融合した料理が振る舞われた

Johnson Winter & Slattery
――クリスマス・パーティーを開催

「Johnson Winter & Slattery」は2017年12月20日、シドニー中心部の同所オフィスでオーストラリア三菱商事会社、アーンスト・アンド・ヤング、日本航空、ジェトロなどの日本企業のクライアントや関係者を招待し、クリスマス・パーティーを開催した。同所のジム・ハンウィック氏は乾杯のあいさつで「これからも日系企業との協力関係を更に深めていきたい」と流暢な日本語で語り、アルドー・ニコトラ氏は「日本とオーストラリアでは商取引上の法律や習慣が大きく異なる場合が多くあり、私たちはその違いから不要な法律違反や罰金などを防ぐため、日本の企業の方々にアドバイスをしています」とコメント。

左からアルドー・ニコトラ氏、菊井隆正氏、尋木由里氏、末永正彦氏、廣田信治氏、ジム・ハンウィック氏

左からアルドー・ニコトラ氏、菊井隆正氏、尋木由里氏、末永正彦氏、廣田信治氏、ジム・ハンウィック氏

約26人の参加者には、レストラン「四季」のヘッド・シェフ河野巧氏によるクリスマス・パーティーらしい華やかな食材を使用した料理が振る舞われた。同イベントのオーガナイズを担当した「Washoku Lovers」(SDマーケティング)の尋木由里氏は「日本とオーストラリアの双方のお客様に満足して頂けるフィンガー・フードを提供でき、うれしく思います」と話した。


優勝した「Baransu」チームのゾーイ氏(左)とジェイソン氏(右)

優勝した「Baransu」チームのゾーイ氏(左)とジェイソン氏(右)

イノベーション道場
――第2回プレゼンテーションを開催

イノベーション道場は2017年12月19日、PwCオーストラリアのバランガルー・オフィスで第2回プレゼンテーションを開催した。同団体は、UNSWから派生した日本及び太平洋地域全体でワールド・クラスのコンサルタントやアドバイザーとその地域でのビジネス進出を希望する学生や起業家らを結びつける異文化スタートアップ・プログラムを提供している。同会はプログラム・スタイルで、2017年度の優勝プログラム「V-KAIWA」の成功事例紹介に続き、2018年度の参加5チームが紹介された。また同団体によるスタートアップ・ビジネスの更なる発展と、日豪の市場参入を早めるための新サービス「Dojo+プログラム」や現在試行中の2つのプロジェクトが発表された。

2017年度の優勝は、職場における社員のストレス軽減を目的として開発された「Baransu」が獲得。パートナーや顧客候補、投資家を訪問する際の日本旅行が贈呈された。2位には、病院における接触感染防止を目的とした、AIによる手指衛生改善ソリューション「BeacoHealth」が選出され、賞品としてオーストラリア、日本でのマーケティングのエキスパートであるdoqによる4回のコンサルティング・セッションが贈られた。また全ての参加チームは今後12カ月にわたり、イノベーション道場チームより継続してサポートを受ける。


太鼓デュオ、篠笛奏者によるライブが開催

池川正恵氏とグラハム・ヒルゲンドルフ氏による太鼓デュオ「YuNiOn(ユニオン)」が1月21日、シドニー西部マリックビルにある「Lazybones Lounge」で日本から篠笛奏者の狩野泰一氏を迎えて篠笛と太鼓のコラボレーション・ライブ「Japanese Jazz Jam」を開催した。

同ライブでは、YuNiOnによる太鼓の演奏が6曲披露された後、狩野氏がステージに登場。ジャズ・バンドと共にオリジナル曲を含め、日本の名曲『桜』や、世界的にも有名な『ムーン・リバー』『オーバー・ザ・レインボー』など9曲が披露された。和と洋が見事に融合された太鼓、そして篠笛とジャズ・バンドによる演奏は、会場に集まった約70人を魅了した。

狩野氏はこれまで世界30カ国で2,000回以上の公演を行い、日本古来の篠笛の可能性を広げてきた第一人者。篠笛奏者になる前は、ジャズ・ドラマーだったという同氏は、「元々はジャズや洋楽が大好きで、日本の楽器や伝統的な音楽にはあまり触れることなく育ってきました。しかし、大人になって日本人なのに日本独自の楽器や音楽についてはあまり知らないことに気付き、篠笛を始め太鼓や尺八、三味線などを学びました。日本独自の楽器の良いところを取り入れ、世界の音楽とミックスして新しいカルチャーを生み出す活動をしていきたいと思い、世界各地を回っています」と語った。

同ライブを主催したYuNiOnは、シドニーを拠点に定期的に太鼓の演奏会やワークショップを開催している。

迫力のある大太鼓の演奏を披露するYuNiOn

迫力のある大太鼓の演奏を披露するYuNiOn
篠笛奏者・狩野氏(中央)とジャズ・バンド・メンバーの皆さん

篠笛奏者・狩野氏(中央)とジャズ・バンド・メンバーの皆さん

書道イベントが開催

NSW豪日協会は2月21日、書道家の矢野れん氏を迎えて書道イベントを開催する。矢野氏はNSW総督邸やジャパンファウンデーションなどでの展示、NSW州立美術館やキャンベラのキャンドル・フェスティバルなどのイベントでパフォーマンスを披露するなど、精力的に活動するオーストラリア政府公認のアーティスト。同イベントでは矢野氏が「日本書道の歴史と現状」をテーマに講演する。また書道の実演後、参加者による習字体験ワークショップや懇親会も予定されている。予約・問い合わせは下記まで。

■Calligraphy Performance and Workshop with Ren Yano
日時:2月21日(水)6PM~8PM
場所:HWL Ebswor th 法律事務所(Level 14, Aus tralia Square, 264 George St., Sydney)
料金:AJS会員$40、非会員$50、学生$30(懇親会代含む)
人数:先着30人
Web: www.ajsnsw.org.au(問い合わせ・申し込み)


優勝トロフィーを手に笑顔を見せる山口選手(左)と中島選手(右)

優勝トロフィーを手に笑顔を見せる山口選手(左)と中島選手(右)

オーストラリア・アマチュア・ゴルフ選手権アベック優勝

1月16日から21日、西オーストラリア州パース郊外のレイク・カリーニャップ・カントリー・クラブで「オーストラリア・アマチュア・ゴルフ選手権」が開催され、中島啓太選手(17歳、代々木高校2年)と山口すず夏選手(17歳、共立女子第二高校2年)の2人が優勝を飾った。日本人による大会制覇は初めてで、史上初のアベック優勝の快挙となった。

大会最終日、中島選手はアマチュア世界ランキング26位のデビッド・ミケルッツィ(オーストラリア)と決勝で対戦し、4&3で勝利を飾った。「デビッドは本当に良い選手。そんな彼に決勝戦で勝てたことが本当にうれしい」と語った。また、山口選手はアマチュア世界ランク41位のチョ・アイエン(韓国)と優勝を争い、6&5で快勝となった。「決勝戦で最高のプレーができて本当に興奮しています。ずっと勝ちたいと思っていた大会なので、とてもうれしいです」と笑顔でコメントした。


2018年度東日本大震災復興支援
イベント開催

2011年の東日本大震災発生以降、毎年シドニーで行われている「東日本復興支援イベント」が今年も3月11日、JCSレインボープロジェクト主催、東京マート、RENCLUB、Ippin Australia、ArtLab、豪州かりゆし会協賛の下、シドニー北部のクローズ・ネストで開催される。

震災発生時刻には浄土真宗本願寺派渡部住職による黙とう、和太鼓りんどう演奏、新極真会空手演舞、東北大学生たちによる被災地の現状プレゼンテーション、福島県南相馬市のドキュメンタリー映画「MARCH」の上映、被災地の伝統文化紹介、東北の珍しい郷土料理試食販売、地酒テイスティングなどが予定されている。

同イベントで集まった経費を除く収益金は、毎年8月に被災学生を保養招待するレインボー・ステイ・プロジェクトの本事業に寄付される。また、同会では東北出身者で震災関連(ストーリー、郷土物産、本など)の紹介を希望する方を募っている。問い合わせは下記のEメールまで。

■東日本大震災復興支援イベントTSU-NA-GU
日時:3月11日(日)3:30PM~6:30PM(予定)
場所:Crows Nest Centre, Ground Floor Pat Brunton Room (2 Ernest Place, Crows Nest, NSW)
入場:無料
Email: sydneyrainbows@gmail.com(問い合わせ)
Web: jcsrainbow.com


SBSラジオ日本語放送2月のハイライト

SBSラジオ日本語放送は毎週、火曜、木曜、土曜の午後10~11時に番組を放送している。番組は、AMラジオ1107khzにチューンを合わせる方法と、デジタル・テレビのデジタル・ラジオ「SBS Radio1」を選択する方法で聞くことができる。

2月のシドニーサイドでは、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2月5日に実施する「おりづるプロジェクト」で、被爆者の方のインタビューなどを放送する予定。また、車いすテニス選手世界ランキング1位、上地結衣選手や、シドニー・フェスティバルに作品を出展したアーティスト、藤浩志さんのインタビューなど、聞き逃してしまった先月の放送もSBSのウェブサイトで聞くことができる。次回は2月22日(木)放送予定。

■SBSラジオ日本語放送
Email: Japanese.program@sbs.com.au
Web: www.sbs.com.au/Japanese
Facebook: www.facebook.com./SBSJapanese


【お詫びと注意喚起】

iPhone安売り販売の広告にご注意ください

弊社(日豪プレス)が毎月発行しているフリー・ニュース・ペーパー「日豪プレス全国版2018年1月号」において、不適切な広告を掲載したことをお詫び申し上げると共に、今後のための注意喚起をさせて頂きます。

日豪プレス全国版2018年1月号、15ページに掲載した広告が詐欺もしくは詐欺まがいの手口を利用した広告であることが現在濃厚となっており、実際に読者からの被害報告も受けている状況です。

掲載業者、及び弊社の対応、また詐欺被害に遭われた際の対応に関しての詳しい内容は本紙40ページをご覧ください。


アート展をプロデュースした内田さん

アート展をプロデュースした内田さん

多彩な「アボリジニアート展」
銀座三越で内田さん

2017年11月15日から21日まで、1週間にわたって、東京・銀座三越のギャラリーで、メルボルン在住の内田真弓さん(51)プロデュースの「アボリジニアート展」が開かれ、多くの愛好者が来場、約50点が即売された。

内田さんは茨城県鹿嶋市出身でオーストラリア暮らし25年。1994年からメルボルンのアボリジニー・アートの画廊で働き、不思議な魅力に引かれて、自ら中央部のアボリジニー居住区で過ごし、一緒に狩りに行き、たき火でカンガルー肉を焼いて食べた。来日したアボリジニー画家のため、コンビニで鶏肉を買いに走ったり……。

1971年ごろ、絵の具とキャンバスが紹介されたのを機会に、アートとして登場。読み、書きという文字文化を持たないアボリジニーは、絵を通して伝統文化を引き継いできた。80年代初めまで部族の長老の男性が継いできたが、今は女性が多くなった。アリス・スプリング北東の居住区にいたエミリー・ウングワレーは、今や巨匠と言われ、93センチ×98センチの作品『マイ・カントリー』は、約600万円の値札が付けられていた。他の作家のアクリル画にも、20万円前後の値札が付いていた。

内田さんは、神戸など東京以外でも展覧会を開き、最近は日本の大手の美術館がアボリジニー・アートを収蔵するようになった、と言う。(投稿・写真=東京・青木公)


「貴婦人とunicorn」Sight' c1500, from 'The lady and the unicorn' seriesMusée de Cluny – Musée national du Moyen Âge, ParisPhoto RMN-GP / M Urtado

「貴婦人とunicorn」Sight’ c1500, from ‘The lady and the unicorn’ seriesMusée de Cluny – Musée national du Moyen Âge, ParisPhoto RMN-GP / M Urtado

■NSW州立美術館・日本語ボランティア・ガイド便り

2018年展覧会プログラムの紹介

新しい年を迎え、NSW州立美術館では2018年展覧会プログラムが計画されています。今回はその中から幾つかをご紹介します。

2月にはクリュニー・フランス国立中世美術館至宝「貴婦人と一角獣/The Lady and the Unicorn」がやってきます。15世紀末のフランドールで織られた連作6面の大きなタペストリーは美しく着飾った貴婦人が千花模様(ミルフルール)を背景に、ユニコーンと共にいる鮮やかな場面が描かれています。5面には「視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚」と人間の5感が、そして「わが唯一の望み」とある6面目には内的感覚の心、欲望、または意志の寓意が表されているとみられています。この作品がフランス国外に貸し出されたのは、過去にはアメリカ(1974)、日本(2013)のみで、今回のNSW美術館での展示は極めて貴重な機会です。フランスの至宝、中世ヨーロッパ芸術の最高傑作の1つをお見逃しなく。

3月になると2年毎開催の現代アートの国際展「シドニー・ビエンナーレ」が始まります。21回目の今年の芸術監督は森美術館のチーフ・キュレーターの片岡真美氏です。この芸術祭の芸術監督がアジアから選出されるのは今回初めてです。今年のタイトルは「Superposition: Art of Equilibrium and Engagement」。「均衡とエンゲージメントという概念を繋げ、現代社会へ向けられた洞察へのメタファーとして、量子力学で言うところの“スーパーポジション(重なり合い)”という考え方をタイトルに借用します」と片岡氏は語ります。世界各国から抜粋された70人のアーティストが市内の7会場にてこのタイトルに取り組みます。

Mami Kataoka - Biennale of Sydney ⓒDaniel Boud

Mami Kataoka – Biennale of Sydney ⓒDaniel Boud

昨年11月から展示されている「レンブラントとオランダ黄金時代」展は2月18日に終了します。16世紀テュ―ダー時代の作品展「ヘンリー8世」とそのバーチャル・リアリティー(VR/仮想現実)(5月)、19世紀末にヨーロッパで活躍したオーストラリア初のフランス印象派画家ジョン・ラッセル展(7月)と1960、70年代のオーストラリア抽象表現主義アーティスト、トニー・タクソンの回顧展(11月)など、30以上の展覧会が企画されています。

美術館のウェブサイト(www.artgallery.nsw.gov.au)をご覧頂き、今年もぜひAGNSWをお楽しみください。(投稿=コミュニティー・アンバサダー:森岡薫)


競泳NSWオープン選手権、日本人若手が実力を証明

大会2日目、メダル・プレゼンターを務めた竹若敬三在シドニー日本国総領事と男子4×200mフリー・リレーのメンバー(写真:山内亮治)

大会2日目、メダル・プレゼンターを務めた竹若敬三在シドニー日本国総領事と男子4×200mフリー・リレーのメンバー(写真:山内亮治)

1月19日~21日、シドニー近郊のオリンピック・パーク・アクアティック・センターで、競泳のニュー・サウス・ウェールズ州オープン選手権が開催国豪州を含む12カ国が参加の下、開催された。日本からはジュニア年代(15~18歳)の選手18人が出場、リレー種目を合わせ合計18個のメダルを獲得した。

大会初日、阪本祐也選手(大紀SC/三重高校)が200mバタフライで優勝し日本勢メダル・ラッシュの先陣を切ると、女子では入澤愛選手(イトマンSS/近畿大学附属高校)が400m個人メドレー、佐藤千夏選手(スウィン大教SS蓮田/埼玉栄高校)がそれぞれ銀メダルを獲得した。

2日目も日本のメダル獲得は続いた。浅羽栞選手(ヴァリュウSS/八王子高校)が200m平泳ぎで銅メダルに輝くと、大内沙雪選手(ダンロップSC藤沢/日本大学藤沢高校)が50メートル自由形、大武誠之選手(ドゥSS豊洲/芝浦工業大学附属高校)が200m個人メドレーでそれぞれ3位、表彰台に上った。また同日、竹若敬三在シドニー日本国総領事、上野繁一氏(東京海上日動火災保険株式会社)、定行亮氏(全日本空輸株式会社)が観戦に訪れ、メダル・プレゼンターも務めた。この日、男子4×200mフリー・リレーで白熱した展開となった中3位となった日本チーム(大武誠之選手/関海哉選手/伊藤隼太選手/菖池竜輝選手)に銅メダルを授与した竹若総領事は「声を枯らして応援した甲斐があった。若い選手たちの力を見た」と喜びを述べた。

2冠の阪本祐也選手(中央)ら個人でも多くのメダルを獲得

2冠の阪本祐也選手(中央)ら個人でも多くのメダルを獲得
選手・コーチらが一丸となって大会を戦い抜いた

選手・コーチらが一丸となって大会を戦い抜いた

大会最終日の3日目、日本は個人種目・リレーで8個のメダルを獲得、同大会期間中で最多の数となった。200mバタフライで持田早智選手(ルネサンス幕張/千葉商科大学附属高校)、1,500m自由形で菖池竜輝選手(コナミスポーツクラブ三田/報徳学園高校)が3位に入ると、大崎威久馬選手(フィットネスクラブ東京ドーム/桐光学園高校)が200m平泳ぎ、新野杏奈選手(スポーツボックス豊川/豊川高校)が200m個人メドレー、大武誠之選手が400m個人メドレーでそれぞれ2位、阪本祐也選手は100mバタフライで優勝を飾った。阪本選手にとっては、うれしい同一種目2冠となった。

冬場の日本から来豪し調整が難しい中で臨んだ今大会について、ヘッド・コーチを務めた薩摩将広氏は「思ったようなタイムが出ず苦しんだ選手も多かったが、日を追うごとに選手はメンタル的に成長した」と大会の成果を語った。


日本水泳連盟・競泳委員長の平井伯昌氏

日本水泳連盟・競泳委員長の平井伯昌氏

日本水泳連盟・競泳委員会委員長
平井伯昌氏インタビュー

競泳日本代表のコーチとして、これまで北島康介、中村礼子、寺川綾ら数々の名スイマーを育て上げてきた日本競泳界指導者の第一人者、平井伯昌氏。競泳日本の次世代を担う選手が派遣された今年のNSWオープン選手権の視察に訪れた同氏に、ジュニア選手派遣の狙い、豪州での国際大会の意義、東京五輪への展望など話を伺った。(聞き手=山内亮治)

――ジュニア選手のみの派遣となった今回のNSWオープンの狙いは何でしょうか。

現在、競泳日本のジュニア年代には池江璃花子選手や今井月選手といった東京五輪でメダルを狙える実力のある選手がいますが、パリ、ロサンゼルスと今後の五輪を見据えた時、彼女たちに続く選手を輩出する必要があると感じています。そこで、シニアとの混合ではなく、ジュニア年代の選手のみの派遣とし、彼らが経験を積むことを優先しました。

また、今大会に関しては、選手だけでなくコーチ陣も次世代を担う方たちだと期待しています。東京五輪後に続く選手たちを輩出できる指導者になってもらいたいという気持ちもあり、今大会は競泳日本としての中長期的な強化を視野に入れた選手・コーチの派遣となりました。

――数々の名スイマーを育てられたコーチとしての立場から、今回派遣された選手をどのように指導したいか考えはありますか。

日本に限らず、現在は世界的に競泳のトップ選手の選手寿命が長くなっている傾向があります。高校生年代の選手も、キャリアのピークを迎えるにはまだ時間が掛かるという印象です。かつて岩崎恭子選手が若干14歳にしてバルセロナ五輪で金メダルを獲得したこともありましたが、2年前のリオで200m平泳ぎの金メダリストになった金藤理絵選手は当時27歳でした。

豪州で開催される国際大会に参加するということは、ケイト・キャンベル選手といった日本選手にとって憧れの地元出身の名スイマーとレースをすることができ、ただ大会に出たという以上にキャリアのピークに向けた良い経験になります。そして、選手たちには豪州の選手らとコミュニケーションを取り何かを吸収して、より長い目で自分たちのキャリアを考えて欲しいと思っています。

――大会を通しての選手たちへの印象はどうですか。

個人のタイムはまだ良い記録が出せるという印象で、年末年始にそれぞれの所属先で調整し合流したためか、他の時期での参加に比べチームとしてのまとまりは少ないかもしれません。ただ、日を追うごとに各選手が課題を修正していっている様子が見受けられます。大会期間全体を通し、少しでも多く良い経験を積んでもらいたいと思っています。

――コーチ・選手の国際経験以外でNSWオープンの意義をどのように感じていますか。

来豪してから、金メダリストを育て上げた地元の名コーチらとミーティングをしました。豪州に遠征するメリットは、そうした指導者同士の情報交換ができるということがあります。

豪州と日本は、実は半世紀近く前から競泳で切磋琢磨してきた歴史があり、互いをライバルとして敬遠し合うというより、手を取り合い共に強くなろうとしています。東京五輪に当たって豪州側は日本での合宿も考えているでしょうし、競泳における今後の日豪の関係の維持・強化を図る目的でもこの大会期間中に双方の強化プランについて話し合う予定です。豪州・日本の両国は、選手がスイミング・クラブで育成されたり、大学に進学しキャリアを積むといった点で近い背景を持っているので、考えをうまく共有し合えるのではないでしょうか。ジュニアだけでなく、シニアの選手も含めて強化していけることが理想です。

――2年後に迫った東京五輪への展望をお聞かせください。

今年は、1月23日から池江璃花子選手と長谷川涼香選手が来豪し、名コーチであるマイケル・ボール氏に師事することが決まっています。東京五輪を控え、今は彼女たち以外にも日本トップ選手の多くが豪州の現地コーチの下でトレーニングを積みたがっている状況なんです。そこで、NSW州以外の大会の予定も把握した上で、五輪開催までの豪州での大会やトレーニングに選手を派遣するロードマップを作りたいと考えています。そして、五輪前にしっかりと豪州でトレーニングを積めるよう、こちらでの環境を整えたいと思っています。

平井伯昌(ひらいのりまさ)
プロフィル◎1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学卒業後、東京スイミングセンターに入社し、アテネ、北京五輪で北島康介選手に2大会連続の2つの金メダル、中村礼子選手に2大会連続の銅メダルをもたらす。08年に競泳日本代表ヘッド・コーチに就任すると、ロンドン五輪では寺川綾選手、加藤ゆか選手、上田春佳選手に銅メダルをもたらす。15年6月、日本水泳連盟理事に就任、競泳委員長を兼務

新着記事

新着記事をもっと見る

NICHIGO CHANNEL

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る