2018年10月 ニュース/総合

就任会見を行うスコット・モリソン新首相(Photo: AFP)
就任会見を行うスコット・モリソン新首相(Photo: AFP)

モリソン新首相、逆風の船出

支持率低調、次期選挙控え波乱も

保守連合(自由党、国民党)のモリソン新政権が、逆風の中でスタートした。発足直後の世論調査で保守連合の支持率は大幅に低下した。首相交代劇で露呈した権力抗争が影を落とした格好で、モリソン首相は次期選挙に向け非常に難しい政局運営を迫られている。

前連邦財務相(連邦下院議員)のスコット・モリソン氏は8月24日、第30代連邦首相に就任した。同日行われた与党自由党の党首選の決戦投票で、45票対40票の小差でピーター・ダットン前内相に競り勝った。前首相のマルコム・ターンブル氏はこの日の党首選に立候補せず、退陣した。

モリソン氏は1968年シドニー生まれの50歳。2007年の連邦下院議員選挙で初当選。連邦移住相を経て、ターンブル政権で財務相を務めた。

モリソン氏は26日、新内閣の閣僚人事を発表した(右記の閣僚名簿参照)。23人の閣内相のうち、連立相手の国民党が1人、女性が5人、上院議員は8人。

右腕の財務相にはジョシュ・フライデンバーグ氏が就任。24日の党首選の第1回投票で落選したジュリー・ビショップ外相は閣僚を辞任した。

新外相には、2代連続で女性のマリース・ペイン氏が就任した。副首相・インフラ・交通・地域開発担当相はマイケル・マコーマック氏(国民党党首)が留任。「ターンブル降ろし」の中心人物となった右派のダットン氏も引き続き内相を務める。

党内亀裂の修復が急務

調査会社ニューズポールが首相交代後に実施した世論調査(全国紙「オーストラリアン」8月26日付掲載)によると、選挙結果に近い2大政党別支持率は、与党保守連合が44%と前回調査比で5ポイント下落。野党労働党は56%と5ポイント上昇した。各政党別支持率は、保守連合が4ポイント下落の33%、労働党が6ポイント上昇して41%と逆転した。

また、9月9日付オーストラリアンが掲載したニューズポールの次の調査でも、2大政党別支持率は保守連合が44%、労働党が56%となり、前回と同じだった。この結果を基にしたニューズポールの分析によると、仮に現時点で連邦選挙が実施された場合、保守連合の下院議席数は21減の55となる一方、労働党は21増の90を獲得して政権を奪回する可能性が高い。

新首相就任直後は与党支持率が一時的に上昇するのが通例だが、首相交代後に行われた2回の世論調査結果を見る限り、モリソン新首相に対する国民の期待は低い。

ターンブル氏の右腕として政権を支えたモリソン氏は、ターンブル政権の基本路線を継承すると見られる。しかし、来年5月までに次期連邦選挙を控え、首相交代劇で露呈した党内の亀裂を早期に修復できるかどうか。強い逆風の中での船出となった。今後も支持率が低迷するようだと、もう一波乱ないとも限らない。

短命政権続くーー5年で3人目

求心力が急速に低下していたターンブル氏は21日に1度目の党首選を開き、48票対35票でダットン氏に勝利していた。しかし、直後にターンブル氏の続投に反発する閣僚が次々と辞任を表明。24日の2度目の党首選には出馬せず、退陣に追い込まれた。首相交代後、ターンブル氏は政界引退を表明した。

実業家出身で穏健派のターンブル氏は2015年9月、保守派のトニー・アボット元首相を引きずり下ろして首相に就任した。懸案だった同性婚の合法化を実現したが、強いリーダーシップに欠け、支持率は低空飛行を続けた。エネルギーなど経済政策で党内をまとめられなかったのも響いた。「ターンブル首相のままでは勝てない」との声が党内に広がり、首相就任から3年弱で退陣に追い込まれた。

保守連合が13年の連邦選挙で政権を奪回して以来、約5年間で首相はモリソン氏で3人目。豪州では近年、前労働党政権時代から短命首相が続いており、内政・外交への影響が懸念される。

モリソン内閣の顔ぶれ(閣内相)
注:順番は公式発表順

首相 スコット・モリソン
副首相・インフラ・交通・地域開発 マイケル・マコーマック*1
財務 ジョシュ・フライデンバーグ
国防 クリストファー・パイン
外務 マリース・ペイン*2 *3
法務 クリスチャン・ポーター
通信・芸術 ミッチ・ファイフィールド*3
中小企業・技能・職業訓練 ミカエラ・キャッシュ*2 *3
産業・科学・技術 カレン・アンドリューズ*2
保健 グレッグ・ハント
農業・水資源 デービッド・リトルプラウド
エネルギー アンガス・テイラー
先住民問題 ナイジェル・スカリオン*3
地域サービス・スポーツ・地方政府・地方振興 ブリジッド・マッケンジー*2 *3
支出・公共サービス マティアス・コーマン*3
国防産業 スティーブン・チョボ
貿易・観光・投資 サイモン・バーミンガム*3
内務 ピーター・ダットン
雇用・労使関係・女性問題 ケリー・オドワイヤー*2
資源・豪州北部担当 マシュー・カナバン*3
教育 ダン・テハン
家族・社会サービス ポール・フレッチャー
環境 メリッサ・プライス*2

(*1:国民党、*2:女性、*3:上院議員)

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