2018年12月 ニュース/総合

刺殺されたシスト・パラスピナさんが共同オーナーを務めた有名カフェ「ペリグリーニズ・エスプレッソ・バー」。献花台が置かれた店の前では、市民が次々と弔問に訪れていた(Photo: AFP)
刺殺されたシスト・パラスピナさんが共同オーナーを務めた有名カフェ「ペリグリーニズ・エスプレッソ・バー」。献花台が置かれた店の前では、市民が次々と弔問に訪れていた(Photo: AFP)

メルボルンでテロ、3人殺傷

繁華街で車燃やし、通行人刺す

メルボルン市内中心部バーク・ストリートで11月9日午後、男が通行人をナイフで刺す無差別殺傷事件が発生した。通行人の男性1人が死亡し、2人が負傷した。男は駆け付けた警官に銃で胸部を打たれ、搬送先の病院で死亡した。警官2人も軽傷を負った。容疑者の男はイスラム過激主義に傾倒していたとされ、警察はテロ事件と断定して捜査している。

地元メディアによると、男は小型トラックを路上に駐車し、車内に火を放って炎上させた上で、3人の通行人を次々とナイフで刺した。男は火を付けたトラックにガスボンベを積んでいなかったため、爆発しなかった。火は約10分で消し止められた。

刺殺されたのは、メルボルンの有名カフェ「ペリグリーニズ・エスプレッソ・バー」の共同オーナーであるシスト・パラスピナさん(74歳)だった。けがをした2人の男性のうち1人は、タスマニア州のビジネスマン、ロッド・パターソンさん(58歳)。もう1人はメルボルン近郊ハンプトン・パークの24歳の男性。2人はロイヤル・メルボルン病院で手術を受けたが、様態は安定しているという。

VIC州警察は11月10日、射殺された容疑者はソマリア出身のハサン・カリフ・シャイア・アリ(30)だったと発表した。警察によると、同容疑者は国際テロ組織の自称「イスラム国」(IS)と関係があり、連邦の諜報機関が要注意人物としてマークしていた。

宗教過激主義は脅威――首相

メルボルンで9日発生したテロ事件について、スコット・モリソン首相は10日の公共放送ABCのテレビ番組で「イスラム過激主義は、この国で最大の宗教過激主義の脅威だ」と述べた。首相は「私は先頭に立ってこの国の宗教的自由を守る」とした上で「それと同時に、私は先頭に立って宗教的過激主義(の危険)について訴えていく」と強調した。

VIC州警察は10日の会見で、シャイア・アリ容疑者が、国際テロ組織の自称「イスラム国」(IS)に「誘発され、過激化していた」との見解を示した。ISは今回の事件について犯行声明を出したと報じられているが、事件に直接関与した形跡はないという。

また、連邦警察は同日、同容疑者が2015年にシリアに渡航を計画した際、過激思想に傾倒していることを理由に、パスポートの効力を停止していたことを明らかにしている。


NSW州労働党の新党首にデイリー氏
セクハラ疑惑で辞任したフォリー氏の後任

NSW州議会の最大野党労働党は11月10日、両院議員総会で党首選を行い、マイケル・デイリー副党首(州下院議員)を新党首に選出した。副党首には、「影の内閣」の貿易・観光・環境担当だった女性のペニー・シャープ氏が就任した。10日付の公共放送ABC(電子版)が伝えた。

前党首のルーク・フォリー氏をめぐっては、2016年のパーティーで女性記者の体を触ったとの疑惑が浮上。フォリー氏は8日の会見で「事実に反する」と疑惑を完全否定したものの、「無実を晴らすための戦いと選挙戦を同時に進めることは不可能だ」として党首辞任を表明していた。

これを受けて急きょ実施された党首選で、デイリー氏は33票を獲得。対立候補のクリス・ミンズ12票を大差で破り、事前の予想通り新党首に選ばれた。

デイリー氏は重点政策として、◇世界水準の保健・教育制度、◇生活コストの低減、◇郊外や地方での雇用創出、◇シドニーをより生活しやすい街にすること、の4点を挙げた。19年3月の次期州選挙に向け、政策の詳細をまとめる。労働党は新体制で8年ぶりの政権交代を目指すが、前党首のスキャンダルによるイメージ低下は避けられない。

フォリー氏が「下着の中に手を」

公共放送ABCでNSW州政治担当の記者を務めるアシュリー・レイパーさんは11月8日、フォリー州労働党党首(同日辞任表明)による痴漢被害について暴露した。

ABC電子版が掲載したレイパーさんの声明によると、事件は16年11月に開かれた同州議員と政治記者のクリスマス・パーティーの二次会で起きた。州議会で行われた公式パーティーの後、一行は近くにある「マーティン・プレイス・バー」に移動。店内でレイパーさんの横に立ったフォリー党首が「ドレスの後ろの隙間から下着の中に手を入れ、尻を触った」(レイパーさん)という。

その様子は、日刊紙「シドニー・モーニング・ヘラルド」の州政治担当の政治記者だったショーン・ニコルズさん(現ABC記者)も目撃していた。レイパーさんは事件を公表しないことを決め、ニコルズさんも口を閉ざすことを約束した。

レイパーさんは事件を公表しなかった理由として、◇こうした行為の被害に遭った女性が公表することで逆に苦しむケースが多いこと、◇州政治担当の政治記者の職を失うことを恐れたこと、◇公表することによる家族へのマイナスの影響、の3点を挙げた。

だが、デービッド・エリオットNSW州テロ対策・刑務所・退役軍人相(州下院議員)が10月、州議会で疑惑を公表して以来、事件は大きな注目を集めた。

声明によると、フォリー党首は11月4日、レイパーさんに電話を掛け、同党首は酒に酔っていたため記憶にないと釈明した上で、謝罪したという。この日の時点では、責任を取って党首を辞任する意向を伝えていた。ところが、6日に掛けた2度目の電話では、改めて謝罪した上で、法的な理由から辞任を撤回することを明らかにしたという。

レイパーさんは公表を踏み切った理由について「こうした(痴漢)行為にさらされることなく、女性は仕事と付き合いに取り組むことができるようにすべきだ。私のようなケースが、政治的なポイント稼ぎのために議会で議論されるべきではない」などと述べた。これ以上のコメントは控えるとしている。

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