第60回 QLD 夢想

 

第60回 夢想

文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

リヴァプール戦では赤に染まるであろうブリスベン·ロアの本拠地サンコープ·スタジアム(筆者撮影)
リヴァプール戦では赤に染まるであろうブリスベン·ロアの本拠地サンコープ·スタジアム(筆者撮影)

マチルダスの躍進、なでしこジャパンの準優勝で盛り上がった女子W杯が終わった。しかし、フットボール界は間を置かずに、次なる興奮をクイーンズランドに運んでくる。

7月中旬、クイーンズランド州に人気、実績ともに「メガ・クラブ」と呼ぶに相応しい2つのクラブが、イングランドからはるばるやって来る。その2つの名門クラブとは、ともに世界最高峰のイングランド・プレミアリーグで戦うリヴァプールFCとマンチェスター・シティFC。リヴァプールは、ブリスベンで地元のブリスベン・ロアと、マンチェスター・シティはゴールドコーストで同系列のメルボルン・シティと対戦。あいにく、締め切りの関係で試合の結果や会場の様子を伝えることは叶わないが、いずれも満員の大観衆を楽しませるに違いない。

ここ数年、急増したメガ・クラブの豪州遠征。当然ながら、プラスとなることは多い。何よりもまず、興行としての経済的恩恵。そして、将来性のある子どもたちに本場のクオリティーを目の当たりにする機会を与えられること。世界のトップ・クラスの憧れの選手のプレーを生観戦できることがサッカー少年に与える影響力は計り知れない。

しかし、その来訪のたびに複雑な思いが去来するのも、また事実。リヴァプールとロアの試合のチケットは、発売当日に瞬く間に売り切れた。ロアの本拠地サンコープ・スタジアムでの試合は、グランド・ファイナルでないと満員御礼は出ない。それが、どうだ。リヴァプールとの対戦は、英雄スティーブン・ジェラードが退団して不在でも、簡単に売り切れる。この現象をして「リヴァプールは世界有数の人気クラブだから当然」で片付けていては進歩がない。

豪州サッカーで、サンコープ・スタジアムやANZスタジアムといった大型スタジアムを満員にできるコンテンツは非常に限られている。毎年のAリーグのグランド・ファイナル以外では、1月のサッカルーズのアジア大会の決勝のような大一番でないと満員札止めは発生しない。しかし、イングランドのプレミア・リーグの人気クラブがシーズン・オフにやって来ると、親善試合でもスタンドは簡単に埋まる。

今回もまた、そんな満員のスタジアムを記者席から見下ろしながら、国内の自前のコンテンツでスタジアムが札止めになるのが当たり前になる日を夢想する。例え、夢見がちだと言われても、いつかはそうなるものと信じたい――。信ずれば通ず、はずである。


【うえまつの独り言】
元ロアで元豪州代表でもあるミッチ·ニコルズが、セレッソ大阪からWSWに完全移籍。去年のパースへのレンタル移籍に続いてのAリーグでのプレー。環境が変れば、もうひと伸びしてもおかしくない選手だけにWSWでの活躍を期待して見守りたい。

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