日豪サッカー新時代(NAT)第72回「良縁」

日豪サッカー新時代

第72回 良縁
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

早朝に到着直後、突然の依頼にも快く写真撮影に応じてくれたWSW楠神順平(筆者撮影)
早朝に到着直後、突然の依頼にも快く写真撮影に応じてくれたWSW楠神順平(筆者撮影)

ウェスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)が、通算4人目の日本人選手となるMF楠神順平(28)をJ1鳥栖から獲得した。ACLを制した名将のトニー・ポポヴィッチ監督のお眼鏡にかなった楠神に、昨季まで2シーズン、攻撃で大きなインパクトを残し続けた元オランダ代表ロメオ・カステレンの穴を埋める人材として白羽の矢が立てられた。

WSWと日本人選手の良好な関係は、年を経るごとに深まっている。自身が日本でのプレー経験があるポポヴィッチ監督は、クラブ創立初年の就任当初から常に日本人選手獲得を目論んできた。それが、初年度から日本が誇る“天才”小野伸二の加入という形に表れた。瞬く間にファンの心をつかんだ小野は、2季にわたってWSWとの幸せな関係を築き、“レジェンド”の称号と共に去った。その後、14-15シーズンの途中には、高萩洋二郎、田中裕介の2名が同時に加入。彼らもACLとリーグ戦の過密日程の中でチームに貢献してファンに大きな印象を残した。そして、今回の楠神だ。

10年前、“セクシー・サッカー”で高校サッカー界を席巻した野洲高校の中心選手だった楠神は、日本代表MF乾貴士の1年先輩。その後、同志社大学に進学。同大在学中に特別指定選手として所属したJ1川崎Fに、そのまま入団して活躍の機会を得た。ここでは、元WSWの田中とチームメイト。彼とは今も親交が深く、今回も出発に先立って助言を仰いだという。13年、心機一転、J1・C大阪(当時)に移籍。この時には、現在、WSWの攻撃の司令塔を務めるMFミッチ・ニコルズと共にプレー。そして、今年、完全移籍した鳥栖で出場機会に恵まれず苦しいシーズンを送っていたところ、思いがけぬオファーが海の向こうから届いた。

実は、今回の移籍は公式発表前のうわさの段階から、「確実」との信ぴょう性の高い情報を得ていた。そして、公式発表直後に「22日到着」と知らされ、偶然にも22日の朝からシドニー滞在の予定だった筆者は楠神の豪州上陸初日を取材できる僥倖に恵まれた。残念ながら、その取材内容の詳細を書く字幅が残されていないので、それは、またの機会に譲りたい。

WSWにとって小野、高萩、田中に続き、発足5年で実に4人目の日本人となる楠神。切れ味鋭いドリブルで、ピッチを切り裂き、リーグ一熱いサポーターの心を鷲掴みにできるか。その活躍で、WSWと日本人選手の新たな“良縁”が生まれるのを期待したい。


【うえまつの独り言】
なでしこ不在のリオ五輪では豪州女子代表マチルダスを応援する。その中でも注目は、WSWのWリーグ・チーム所属のエリー・カーペンター。日本と因縁の深いカウラ出身の弱冠16歳。日本にもファンが多いというその容姿に目が行きがちだが、そのはつらつとしたプレーも見逃せない。要チェック。

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