日豪サッカー新時代(NAT)第75回「矜持」

日豪サッカー新時代

第75回 矜持
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

代表のエースの風格漂う本田圭佑は、自分の言葉でしっかりと話す(筆者撮影)
代表のエースの風格漂う本田圭佑は、自分の言葉でしっかりと話す(筆者撮影)

当稿、今月は日豪戦特別紙面の一角に組み込まれているはず。その大事な試合の詳報は、筆者が担当したルポ記事に譲るとして、ここでは、日豪戦取材のメルボルンで感じたことについて書きたい。

第三国で行われるものを除いて、日豪両国で行われる日豪戦にはできる限り現地取材に赴くことを自らに課してきた。当然ながら、今回のメルボルンもその例から漏れない。日豪戦取材の醍醐味は、やはり、普段はフォローしない日本代表を、取材を通して身近に感じられること。そして、同じ代表チームでも全く異なる両国の代表チームの様子などを比較して判断できることにある。

1つ驚かされ、考えさせられたことがある。日本代表の前々日練習後のメディア対応の場で目撃した日本代表選手の取材対応。ハリルホジッチ体制になってから、前々日のミックス・ゾーンでの“囲み取材”は制限されたと聞いた。これまでオープンで全選手対応だったのが、毎回、指定された4、5人に限定されるようになった。

日本代表について何かを書く必要のない筆者は、選手を十重二十重に囲む記者の輪の最後尾から選手の話を聞いた。聞こえない。記者の輪が選手の声を阻んでいるのではなく、総じて選手の地声がぼそぼそと低い。本田圭佑、吉田麻也といったメディア慣れしている選手はハキハキと通る声で話す。だから、この日、出てきた選手のうち数名は「代表歴が短く、この数のメディアの取材に慣れていない」との言い訳もできよう。しかし、この日の顔ぶれの中で一番話が聞きたかった選手は、蚊の鳴くような声で、質問者の眼を見ない、話している間に髪をいじる。正直、かなり印象が悪かった。これでは、彼の本意も伝わるまい。思わず、「彼はいつもこうですか」と顔見知りの記者に聞いたくらいだ。

翻って、サッカルーズ。アンジ・ポスタコグルー監督は会見ではどんな質問にも懇切丁寧に答える。個々の対応に若干の違いはあれど、どの選手もきちんと対応する。たまに、言葉が滑って、そのまま文字にすることはできない単語を使ってしまう選手がいるのもご愛敬だ。

取り立てて個人を批判するつもりは無い。当代一流の選手の集まりである代表選手には「人間力」も求められる。彼らの振る舞いは、文字通り、国を「代表」する。彼らが国の代表選手の矜持を有するのであれば、もう少しはっきりとした声で、堂々と話すべき。名は体を表す――代表選手は国の代表なのだから。


【うえまつの独り言】
日本の記者さんに「代表ウィークに国内リーグが開幕するんですね!」と驚かれた。国内組が一定数代表に選ばれ、代表人気が未だ高い日本とは比べてはいけない。豪州の代表人気は発展途上、国内組はケーヒルのみ。そんなこんなで通常運行のAリーグ、始まってますよ!

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