日豪サッカー新時代(QLD)第94回「欠陥」

第94回 欠陥
文・植松久隆 Text: Taka Uematsu

試合翌日の報道でも大きく扱われた誤審。明らかにオフサイドのようだが……
試合翌日の報道でも大きく扱われた誤審。明らかにオフサイドのようだが……

2017/18シーズン、13季目のAリーグ全日程が終了した。ご当地のブリスベン・ロアは、ファイナル・シリーズ(以下、ファイナル)圏内には滑り込むも、ファイナル初戦であえなく撃沈の憂き目に遭い、消化不良の形でシーズンを終えた。ロアの選手たちは、全員、シーズン・オフに入った。従って、ロアには、残念ながら「リーグの日程は既に終えるも、まだオフには入れない」、すなわちW杯を目指す代表候補選手はいない。

5月8日に発表された6月のW杯を戦う豪州代表の予備登録メンバーには、ジョッシュ・ブリランテ(シドニーFC)ら5人の“国内組”の名があった。彼らは、シーズン全日程を終えたにもかかわらず、ギアを落とせない。W杯出場23人選出への最終アピールの場となる代表合宿は、同月19日と迫る。そこまでは何としてもトップ・コンディションを維持、更に合宿、そしてその先のロシアを目指さねばならないのだから、息つく暇もない。

5月5日に行われた今季のAリーグのグランド・ファイナル(GF)に、圧倒的な強さでシーズンを制したシドニーFCの姿はなかった。一発勝負のホームでのセミ・ファイナルで、宿敵メルボルンVを前にまさかの敗退。GFに勝ち上がったのは、ニューカッスルとメルボルンV、それぞれ、レギュラー・シーズン2位と4位の顔合わせとなった。

そのゲームを制し、今季のチャンピオンの座に就いたのは、ファイナル初戦から3連勝で一気に頂点に駆け上がったメルボルンV。レギュラー・シーズンとファイナルという二重構造による欠陥が露見した今年のAリーグ。過去最強とうたわれる圧倒的な強さでシーズンを制したシドニーFCは、勝ち点差23をも付けていた相手にチャンピオンの座を奪われた。シドニーFCのファンならずとも、首を傾ける結果を招いた現行システムは、いつか見直されることはあるのか。

そして、そのGFでは天下の“誤審”が起きた。しかも、それが決勝点。この大事な試合で、今季から導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が作動不良で、結果的にその日唯一の得点シーンでの明らかなオフサイド判定の正邪を判断することができなかった。そして、試合後にAリーグがその非を認める異例の騒ぎとなった。魅力溢れる攻撃サッカーで注目を集めたニューカッスルだったが、VARの機能的欠陥の前に涙を飲んだ。

Aリーグは終わった。さあ、ここから、一気にW杯モードに切り替えていこう。


【うえまつのひとり言】
1人の男が、ブリスベン・ロアを去った。マイケル・セオ。長らくロアのゴールを守り続けた元守護神。実に、キャリア通算でチャンピオンシップ5回、シーズン王者4回を経験した名GKは、静かにAリーグの舞台を降りた。お疲れ様、セオ!

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