豪州の地からW杯へ ラグビー女子15人制日本代表オーストラリア戦プレビュー

豪州の地からW杯へ
ラグビー女子15人制日本代表 オーストラリア戦プレビュー

豪州の地からW杯へ ラグビー女子15人制日本代表オーストラリア戦プレビュー ⓒJRFU
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ラグビー・ワールド・カップ(以下、W杯)2019日本大会を間近に控え、ラグビーへの関心がオーストラリアでも高まる中、男子と同じく世界への挑戦に向けて活動を続ける女子15人制日本代表(以下、サクラフィフティーン)が7月に来豪、女子オーストラリア代表(以下、ワラルーズ)とNSW州で2連戦を行う。この2連戦は日本代表にとって、21年女子ラグビーW杯(ニュージーランド大会)の予選を前にしたチーム強化の場という重要な意味合いを持っている。ぜひスタジアムに足を運び、サクラフィフティーンに声援を送ろう。
構成:山内亮治 記事協力:公益財団法人日本ラグビーフットボール協会

サクラフィフティーンの世界での戦い

世界での第1歩からアジアの盟主まで

サクラフィフティーンの国際舞台での戦いの歴史は、28年前までさかのぼる。最初のテスト・マッチを行ったのは、1991年の第1回女子ラグビーW杯でのこと。同年4月6日にフランスと対戦、0-62という大差での敗戦を喫してしまう。また同大会では、フランスの他、スウェーデン、スペインと戦うも3戦全敗で、1点も得点できないという完敗であった。その後、女子ラグビーW杯は2017年までに8回の大会が開催され、サクラフィフティーンは以下の成績を収めている。

女子ラグビーW杯への出場歴

  • 第1回(1991年ウェールズ大会) 0勝3敗
  • 第2回(1994年スコットランド大会) 1勝4敗 ※スウェーデンに勝利
  • 第4回(2002年スペイン大会) 1勝3敗 ※オランダに勝利
  • 第8回(2017年アイルランド大会) 1勝4敗 ※香港に勝利
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初の国際舞台での戦い以来、17年8月26日の香港戦まで、サクラフィフティーンのテスト・マッチにおける通算成績は、49試合24勝25敗。今年6月3日時点での世界ランキングは、16位となっている(ワラルーズは7位)。

アジアにおける立ち位置としては、過去のアジア予選でカザフスタンが日本の前に立ちはだかる図式が長く続いた。ただ、15年のアジア・チャンピオンシップでカザフスタンに勝利して以降、日本がアジアにおける女子15人制ラグビーの盟主となっている。

オーストラリア代表との対戦

サクラフィフティーンと女子オーストラリア代表(ワラルーズ)との対戦は、17年8月17日以来、約2年ぶり。第8回女子ラグビーW杯アイルランド大会で戦い、15-29のスコアで黒星を喫した。この試合、日本は前半終了間際のトライを皮切りに、後半12分、18分と得点を重ねて、一時は4点差まで追い上げたものの、終盤に突き放されてしまった。なお、同大会のドリーム・チーム(大会ベスト15)の1人に、日本代表の津久井萌選手が選出されている。

今回のワラルーズとの対戦に向けて

若手主体のチームにとって、ワラルーズとの対戦はW杯予選に向けた成長の場としたい(ⓒJRFU)
若手主体のチームにとって、ワラルーズとの対戦はW杯予選に向けた成長の場としたい
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アウェーでのワラルーズとの2連戦に臨む日本代表にとって、今回の試合が持つ意味、意気込みとはどのようなものか。レズリー・マッケンジー・ヘッドコーチに話を聞いた。

オーストラリア戦が持つ意味

今回のオーストラリア代表との対戦は、2021年女子ラグビーW杯の予選まで1年を切る中、私たちにとって非常に重要なベンチマークとなります。チーム自体が若手中心であるだけでなく、17年のW杯以降テスト・マッチを行っておらず、また15人制ラグビーでのプレーの機会も限られた状況にあり、経験を必要としているからです。

選手全員にとって、W杯予選を前に今回の2連戦を戦えることには大きな意味があり、オーストラリア代表というチームも今の自分たちの実力を図る上でまさに「相手にとって不足なし」と言えます。同代表と17年W杯で対戦して惜敗した後、どのように強化を進めるかで悩む時期が続きましたが、ここにきて手応えもあります。

オーストラリア代表は我々との対戦以外にも、8月にニュージーランド女子代表との対戦を控えています。そのため、日本代表との試合をその試合に向けたチーム強化の一環とするはずですし、試合も難しいものになることが予想されます。それでも選手には、フィジカルの面でしっかりと戦い、取れるところでしっかりとポイントを取り、貴重な国際舞台での経験を積んでもらいたいと思っています。そして、試合を楽しんで欲しいです。

試合への意気込み

先述の通り、チームは若いですが、対戦する相手に合わせるのではなく自分たちが主体的に戦うことを目指します。これは、W杯に向けてアジア予選を戦い抜くためにチームに植え付けているマインドで、今回のオーストラリア遠征でも同じ心持ちで臨みます。

選手は、体格の面でオーストラリア代表と比べて劣るでしょうが、そうしたマイナスに思える部分も自分たちの強みとして生かさなければなりません。オーストラリア代表は彼女たちの良さを全面に出してくることが予想されますが、自分たちは試合終了の80分まで、タックルを積極的に仕掛ける、ラインアウトやスクラムで負けない、ボールを保持するということを徹底する必要があるでしょう。

今回の試合は難しいものになるでしょうが、それでも選手たちは良いマインドを持っているので、オーストラリア代表との対戦は長期的に見てチームへの大きなプラスとなっていくはずです。

2019 Buildcorp Wallaroos Test Season
Web: www.rugby.com.au/teams/wallaroos

Buildcorp Wallaroos vs Japan Test 1
■会場:Newcastle Sportsground Number 2, Newcastle NSW
■日程:7月13日(月)
■時間:3PM(キック・オフ)
■料金:大人$20、コンセッション$5、子ども(4~16歳)無料

Buildcorp Wallaroos vs Japan Test 2
■会場:North Sydney Oval, Sydney NSW
■日程:7月19日(金)
■時間:7PM(キック・オフ)
■料金:大人$20、コンセッション$5、子ども(4~16歳)無料

ワラルーズの注目選手

日本代表の前に立ちはだかるワラルーズには、どのような選手がいるのか。本紙連載「豪州ラグビー通信」のYASUさんが注目の2選手を紹介。また、ここでは紹介しきれていないが、今回、日本人の小野麻子選手がワラルーズのメンバーに選出されており、小野選手が日本代表を前にどのようなプレーを披露するかにも注目が集まっている。

グレース・ハミルトン(Grace Hamilton/No.8)

Photo: YASU
Photo: YASU

NSW州パヌアラ(Panuara)出身。ネットボール、陸上競技でも優秀な選手で、交換留学先のアメリカでラグビーを始める。2014年からシドニーのクラブに所属し、16年にワラルーズのニュージーランド遠征メンバーに選出され、オーストラリア代表としてデビューした。17年にアイルランドで行われた女子ラグビーW杯にも出場。代表チームでも中心選手として成長し、今回のテスト・シリーズではキャプテンを務める。突破力があり、アタックの起点となる選手で、サクラフィフティーンにとっては、最も警戒すべき選手の1人だろう。

エミリー・チャンセラー(Emily Chancellor/FL)

Photo: YASU
Photo: YASU

シドニー出身。幼いころから父親と頻繁にラグビーの試合を観に行っていたという、ラグビー好きの一家で育つ。昨年(2018年)、オーストラリア代表に選出され、ニュージーランド戦に出場。同年のオーストラリア最優秀選手に選ばれた。7人制の大会でもプレー経験があり、走力、フィジカル、ハンドリングと共に判断力の高い総合的にバランスの取れた選手。スーパーW(女子ラグビー・国内州代表対抗戦)ではNSWワラタスでプレーし、昨年に続く連覇に貢献した。フランカーのポジションだが、バックスとしてもプレーできる。

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