Go! ワラビーズ in Japan「迫るワールド・カップ本番ワラビーズが手にした課題と収穫」

Go! ワラビーズ in Japan

日本ラグビー界では現在、オーストラリア、ニュージーランドなど世界の強豪チームでの代表経験を持つ選手が多数プレーしており、日本のレベル・アップにひと役買っている。そこで、かつて豪州で活躍し、現在は日本に舞台を移した元ワラビーズの選手たちについて日本からリポートする。 文=山田美千子/写真=山田武

特別編 迫るワールド・カップ本番ワラビーズが手にした課題と収穫

2019年ラグビー・ワールド・カップ(以下、RWC)日本大会まで2年を切った。しかし、翌年に行われる東京五輪の存在の大きさに影が薄くなり、筆者の周囲の人びとの大会への反応はいまひとつ。大会開催が認知されていない感は否めない。日本ラグビー界がどれだけその存在をラグビー・ファン以外にも示せるのか――、これからが正念場だ。

RWCの試合日程が発表

2017年11月2日、19年のRWC日本大会の日程発表が行われた。同年9月20日、東京スタジアム(東京都)で日本対ヨーロッパ予選勝者の対決で大会の熱戦の火蓋が切られる。

予選プールAの日本は、同月28日に小笠山総合運動公園エコパスタジアム(静岡県)で第2戦アイルランド、10月5日には豊田スタジアム(愛知県)でヨーロッパとオセアニアのプレー・オフ勝者、同月13日に横浜国際総合競技場でスコットランドと戦う。

一方、予選プールDのオーストラリア代表「ワラビーズ」は、9月21日に札幌ドーム(北海道)でフィジーとの初戦を迎え、同月29日に東京スタジアムでウェールズ戦、10月5日には大分スポーツ公園総合運動競技場(大分県)でアメリカ大陸予選2位のチームと、同月11日には静岡でジョージアと決勝トーナメント進出を懸けて対戦する。

そして、11月2日に開催される同大会決勝戦の試合会場となるのは、神奈川県横浜市にある横浜国際総合競技場だ。同スタジアムの収容人員は7万2,327人、日本最大規模である。

本番を想定したテスト・マッチ

その横浜国際総合競技場で、17年11月4日、ワラビーズ対日本代表の試合が行われた。

このカードは過去8戦行われているが、対戦成績はワラビーズの全勝。日本国内では初めての対戦となった。

試合前日にキャプテンズ・ラン(試合前日の最終調整)の取材に訪れた際、グラウンド・レベルからスタンドを見渡して、観客がいないのにもかかわらず、その大きさに圧倒された。大きな試合を数多く経験している百戦錬磨の代表選手たちとはいえ、この大きなスタジアムに満員の観客、大声援に包まれるRWC決勝の舞台というのは、また特別な感情があるのだろうと想像するに難くなかった。

3トライと大活躍を見せたテヴィタ・クリンドラニ選手
3トライと大活躍を見せたテヴィタ・クリンドラニ選手

公式会見では、予定時刻より早くマイケル・フーパー・キャプテンが会見場入りすると、現場にいた記者は6人ほど。あまりの記者の少なさにフーパー・キャプテンが驚くと同時に苦笑いするハプニングもあった。また、その会見では「この時期に、このスタジアムで試合ができることは我々にとって良い経験である」と語っている。まだ2年、しかし、もう2年しかないRWC日本大会でエリス・カップを奪回する計画は着々と進んでいるように感じられた。

翌日、日本のキック・オフで始まった試合は、前半5分にCTBサム・ケレヴィ選手のトライでワラビーズが先制した。昨シーズン、トップ・リーグでプレーしていたテヴィタ・クリンドラニ選手はこの試合で3トライの活躍を見せた。

本大会に向け今後の更なる飛躍が期待されるリース・ホッジ選手
本大会に向け今後の更なる飛躍が期待されるリース・ホッジ選手

しかし、それ以上にこの試合での活躍が輝いていたのは、体調不良のバーナード・フォーリー選手に代わって、SOでプレーしたリース・ホッジ選手(メルボルン・レベルズ所属)だった。前半に5本と後半に4本、計9本のゴール・キックを的確に決め、相手が格下の日本だったとはいえ、正確かつ冷静なプレーを見せた。同格以上の相手とのゲームでも同様のプレーができれば、チーム内で更に大きな存在となっていくことは間違いない。RWC日本大会までにどれだけ多くの経験を積んでいけるか、まだ23歳と若い同選手のこれからがとても楽しみであると共に、今後の活躍に大いに注目していきたい。

同試合の内容で特筆すべきは後半だろう。前半は35対3とワラビーズのリードで終えたが、ハーフ・タイムの間に日差しがなくなり肌寒くなったことも関係があるのか、後半に入りワラビーズの動きが重くなったように見えた。すると、その隙を突くかのように、後半4分にゴール前での押し合いを制し、南アフリカ出身でこの試合初キャップのヴィンピー・ファンデルヴァルト選手(NTTドコモ・レッドハリケーンズ所属)がトライを決めた。その日本のゴール・キックを決めたのは松田力也選手(パナソニック・ワイルドナイツ所属)。奇しくもホッジ選手と同じ23歳だ。この日はゴール・キック1本、ペナルティー・ゴール2本の8得点。こちらも今後を期待したい選手の1人である。試合が終わってみれば63対30の大差でワラビーズが勝利し、日本戦無傷の9勝目を挙げた。日本の視点で見れば完敗だが、ワラビーズの視点からは完勝とは言えない。後半の得点だけを見れば28対27とほぼ互角。特に後半は日本の良さが出た時間帯があり、一方でワラビーズの悪さが多く出た時間帯もあった。ゴール・ライン付近でのディフェンスや後半に受けたようなプレッシャーへの対応にはまだまだ改善の余地がある。半面、ブレイク・ダウンやターン・オーバーはうまく機能していた。RWCでの優勝を目指すうえでは多くの修正点があり、チームに若い選手が多いだけにもっと多くの経験を積む必要もある。残された時間は決して多くはないが、大会までにどれだけ仕上げることができるのか、その行方を見守りたい。

今季のスーパー・ラグビーにも注目

一方、2018年のスーパー・ラグビーも間もなく開幕する。トーナメント方式の再編により、今シーズンからサンウルブズ(日本)はオーストラリア・カンファレンスに参戦することとなった。

昨年のエドワード・カーク選手(キヤノンイーグルス所属)に加え、元ウエスタン・フォースのサム・ワイクス選手(パナソニック所属)も加わり、オーストラリアにゆかりを持つ選手が増えた。

初戦は2月24日の対ブランビーズ戦(東京・秩父宮)となる。ブランビーズにはパナソニックでプレーしていたデイビッド・ポーコック選手や病気からの復活を遂げたクリスチャン・リアリイファノ選手もスコッド(代表候補選手として選出)されている。また、サントリーのBKコーチだったピーター・ヒュワット氏もコーチ入りしており、日本でもなじみの顔が多い。今から、開幕が待ち遠しい。

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