移民受け入れ削減とコロナウイルスの影響

人口増加牽引型の経済回復は望めず

 コロナウイルス・パンデミック不況からの経済回復を人口増加に期待する考えもあったがオーストラリアの人口増加率が第一次世界大戦以後の最低水準に落ちており、人口増加牽引型の経済回復は望めなくなっている。

 シドニー・モーニング・ヘラルド紙(SMH、電子版)が伝えた。

 オーストラリア国内の出生率は少子化の道を歩んでおり、パンデミックで家に閉じこもる時間が増えても出生率は上がっておらず、史上最低水準になっている。しかも、保守連合連邦政府はコロナウイルス以前に移民受け入れ枠を引き下げていた上にコロナウイルスで海外からの入国を禁止したため受け入れ枠を満たさない状況になっている。

 オーストラリアは第二次世界大戦後以来人口増加が続いてきたが、その理由の一つとして、1991年度以来2020年までの不況知らずの経済や大きな移民人口があった。

 1990年から2020年までの期間にオーストラリアの人口は50%、860万人増えており、同じような経済の国でオーストラリアに匹敵する人口増加があったのはカナダで、それでも36%、100万人規模だった。

 この860万人の人口増加が消費増、住宅新築、雇用、政府の税収増加などを支えてきた。また、海外留学生が急増し、さらに技能移民を加えて労働者の教育水準も上昇してきた。しかし、今は、移民数が2020年度の154,000人から2021年度にはわずか31,000人に落ち込んでいる。

 9月25日、ジョッシュ・フライデンバーグ財相は、「移民数の激減と出生率低下で、今後2年度にわたってオーストラリアの人口は減少し、高齢化することになる。将来的には移民数も回復するだろうが、それまでの間の移民減少が埋め合わされることはない。流入移民の年齢が平均して若いことから、移民減少は経済全体で労働力率減少や平均労働時間の減少につながる」と語っている。一方、これまでの人口増加と高齢化により、今後死亡率も上がっていくことが予想される。

 2020年の予算は出生率が1.78から1.9に上昇するとの見通しを基礎にしていた。しかし、新しく組み直した出生率予想は現2021年度には1.59に下方修正している。これも2024年頃にはやや回復するが2020年代末には1.6を少し上回る程度になるだろうと予想されている。
■ソース
‘We’re in deep strife’: Fertility wipe-out set to derail COVID-19 recovery

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