ハリウッド俳優トニー・トッドさん、来豪インタビュー


怖い役どころが多いが、素顔はとても優しくて真面目なトニーさん
来豪インタビュー

6月20日公開『スシガール』主演
ハリウッド俳優

トニー・トッドさん


ゴールドコースト市で4月に開催されたゴールドコースト映画祭。公開前の映画作品が世界中から集まり、盛り上がりを見せた。映画祭でのイベントのため来豪した俳優のトニー・トッドさんに、6月公開の映画や日本文化などについてお話を聞いた。

 ホラー映画『キャンディマン』の背筋が凍るようなキャンディマン役や、『トランスフォーマー』のザ・フォールン役、『プラトーン』のウォーレン役など個性的な演技を見せるトニー・トッドさん。196センチという長身と、よく響く魅力的な低音ボイスの持ち主だ。今回は、ゴールドコースト映画祭のために初めてオーストラリアにやって来たと言う。まずはこの国の第一印象を聞いてみた。

「オーストラリアは本当に良い所だね。ビーチはきれいだし。でも、ここはアメリカほど多様な人種がいないな、と感じた。特に黒人が少ない。街を歩いていても、何となく視線を感じたり。ここではアジア系の方が市民権を得ているのかもしれないね。ほら、この辺りのゴールドコーストだって、日本食も中華料理も街にあふれているけど、黒人のソウル・フードの店なんて1つもないだろう?」

日本食は大好きで、アメリカでも寿司店などによく行っているという。

「ロサンジェルスでは、リトル・トーキョーに住んでるんだ。だから、アメリカでも1、2を争う寿司の有名店がいくつも近所にあるし、寿司は大好き。

12歳の時に生まれて初めて海外旅行を経験したんだけど、その時も行ったのは日本だったよ。ボーイスカウトの旅行で6週間も滞在してね。東京や京都に行ったけど、楽しかったな、当時は寿司も日本酒も飲み屋も知らなかったけど(笑)。

京都からどこかの遊園地へ行って、ジェットコースターに乗ったり。基本的にはキャンプばかりの毎日だったんだけど、朝食からご飯を炊いて魚を食べたり、日本流の食事を楽しんだよ。

刺し身ももちろん好きだし、料理をするのが好きだから、日ごろからいろんな食材を楽しんでる。外国へ旅行すると、その国の食べ物や文化、違う外見や考えの人々がいるってことを学んで、考え方がどんどん自由に広がっていくのがいいよね。人っていうのは、国じゃなくて1人ひとりの同じ人間たちが世界を作っているんだなってこととかね」


低く魅力的な声で、ゲームの『コール・オブ・デューティー・ブラック・オプスII』のトミー・ブリッグス役など声優としても活躍

今回、彼が出演している『スシガール』では寿司だけではなく、なんと女性の裸体に寿司を乗せる、いわゆる「女体盛り」が登場している。

黒髪の白人だが、どこか和の雰囲気をかもし出すような不思議な魅力のある女性が、着物をさらりと脱ぎ捨て、何があっても「皿」として身動き1つせず、どんな会話が行われても口外せず、宴席の中心に横たわるという。日本人でも映画にそんなシーンが登場すると聞くとギョっとしてしまうが、この映画に出演することが決まったトニーは、それを聞いてどう感じたのだろうか。

「この映画に出演するにあたって、いろいろ勉強したんだ。だから僕の演じた主人公が日本のヤクザ世界に感化されたら、こういうことをするだろうなってことがよく分かるよ。今回のデュークというギャングのリーダー役は、収集癖があるんだと思う。サイコパスのように自分だけの偏ったルールを好み、自分が犯した犯罪の被害者に関するものを集めたり、日本文化に関するものもかなり所有していた。この映画は、そんなデュークの世界を舞台にしている。そしてなぜ日本文化がデュークに影響を与えたのかについては、ぜひ映画を見てほしい。彼は、もう一般的な西洋世界の哲学には飽きてしまったんじゃないかな」

この作品では、日章旗や般はんにゃ若の面など、日本をモチーフとした小道具がふんだんにに登場し、ビジュアル的にも、デュークの作り出す狂気を秘めた世界にも、不思議な広がりを見せている。

そしてこの映画では、海外で活躍する日本人の草分け的な存在である千葉真一さんも、ハリウッドでの英語名、サニー・チバで出演している。

「サニーとは一緒に寿司を食べに行ったりしたよ。日本のサムライ・スピリット、武士道について教えてくれたりもした。アメリカでは昔、バッファロー・ソルジャーという、南北戦争のころからの黒人兵たちがいたんだけど、困難な状況でも誇りをもって戦い抜いた彼らが、どこか日本のサムライたちと重なるなと思った。サニーと話すのは楽しかったよ。彼は武道の達人だし、精神的なことも含めて尊敬してる」

これまでにはホラーやスリラーなどの出演が多いが、実はずっとディズニー映画にも出てみたかったと言う。

「子育てをしながら、いつか子どもたちのためにディズニー映画に出てみたいな、と思ってたんだ。だからディズニーではないけど、子どもたちに結構人気のある『トランスフォーマー/リベンジ』のザ・フォールンの声を演じることになった時、嬉しくて思わず娘に『聞いてくれよ。今度、お父さんトランスフォーマーに出るんだよ』って電話したんだ。そしたらちょっと間があって『お父さん、いつになったらもうちょっと大人になるの?』って呆れられちゃったけどね(笑)。でも、子どもたちには分かってもらえないかもしれないけど、やっぱり働くのは家族のためなんだ。いつか分かってもらえるかな。だけど、そう思ってやってるうちに、今度は孫たちから『馬鹿なおじいちゃんだなぁ』なんて言われる時が来るんだろうね(笑)」


来豪した『スシガール』キャスト。左からジェームス・デュバル、トニー・トッド、アンディ・マッケンジ−、ノア・ハサウェイ(Photo: Christopher Cook)

今回の『スシガール』では、懐かしいキャストが並んでいるのも見どころの1つ。1970〜80年代の『スターウォーズ』3部作で主人公ルーク・スカイウォーカーを演じたマーク・ハミルや、『ネバーエンディング・ストーリー』でアトレーユを演じたノア・ハサウェイのほか、ターミネーターで主人公サラを守るために未来からやって来たカイルを演じたマイケル・ビーンも出演している。

「マーク・ハミルは、ルーク・スカイウォーカー役のことを一生言われる俳優だよね。だから、今回の作品でどうやってそのイメージを裏切るか、一緒によく話したよ。彼はティーンネイジャーの時に大成功して、その分早く燃え尽きてハリウッドにうんざりしたりしていた時代が長かったから、そこからカムバックしてきた今はとてもいい具合にハングリーなんだ」

確かにこの作品でのマーク・ハミルは、これがあの純朴な青年を演じた同じ俳優だとは思えないほど、狂気を秘めた個性的で存在感のある演技が光っている。

最後に『スシガール』の見どころを聞いた。

「それは、やっぱりこの映画の結末かな。あとは、やっぱりこんなに寿司をおいしく見せてる映画はほかにないと思うよ。だって、裸の上だよ(笑)」

オーストラリアでの公開予定は、6月20日。DVDやブルーレイも発売される。

『Sushi Girl』
(2012年アメリカ、バイオレンス・スリラー)

6年の刑期を終えて刑務所から出所したフィッシュ(ノア・ハサウェイ)を迎える、強盗団の一味たち。消えたダイアモンドの行方を巡って、狂気と暴力の渦巻く宴席が開かれる…。オーストラリア公開は6月20日予定。日本では2012年11月に公開されている。

監督:カーン・サクストン
出演:トニー・トッド、ジェームス・デュバル、ノア・ハサウェイ、マーク・ハミルほか

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