第6回 「天高く馬肥ゆる秋」

慣用表現英語でDo You Know ?

日本語の慣用表現
        どう言うの
英語で Do You Know ?
オーストラリア国立大学
アジア研究学部日本センター准教授 池田俊一

第6回 「天高く馬肥ゆる秋」

 9月。オーストラリアが春を迎える時、日本には秋が訪れる。「天高く馬肥ゆる秋」という表現がある。英語で言えば、”autumn with the sky clear and blue, and horses growing stout” という描写になるだろうか。
 この表現に出てくる「馬」という言葉は、ほかにもいくつかの慣用表現に見られる。
例1 あの2人は馬が合うらしい。
(They seem to find good company in each other.)
例2 幸い上司とは馬が合うので、仕事がしやすい。
(Fortunately, I get on well with my boss and I have a congenial working environment.)
例3 あいつとは馬が合わないんだ。
(I don’t get on well with that fellow. / I can’t hit it off with that bloke.)
 つまり「馬が合う」というのは、性格的に気が合うという意味になる。
 また、格言めいた次のような言い方もある。
例4 あの人に何を言っても、馬の耳に念仏だから無駄よ。
(No matter what you tell him, it’s a waste of time, for your advice goes in one ear and out the other.) 
例5 先生の注意も、その学生には馬の耳に念仏だった。
(Sensei’s warning fell on the unheeding ears of the student.)
 英語では、「馬の耳に念仏」、つまり馬の耳に向かって、ありがたい仏教の念仏を唱えても意味がないという意味の表現を、次のように表すこともある。
“A nod is as good as a wink to a blind horse. / It’s like water off a duck’s back.”
 また、芝居で馬の足に扮する役者という意味で、文字通り「馬脚」という言葉があり、この言葉を使った次のような表現もある。
例6 あの人もとうとう馬脚を現してきたね。
(She has revealed her true character. / She has shown the cloven hoof. / She has betrayed herself.)
 つまり、取り繕っていた正体が現れる、という意味である。
 まあ、馬が合わない人に何を言っても馬の耳に念仏だから、できる限り「うま」く付き合うことを考えた方が良いのではないだろうか。
(Well, no matter what you say to someone you don’t get on well with, it’ll be just a waste of time, so you’d be better off thinking about how to get on with them.)
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件名:日本語・池田先生係

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