RBA、豪成長率とインフレ予想を下方修正

経済ハイライト

小平直樹・時事通信社シドニー特派員
オーストラリア経済の動き

RBA、豪成長率とインフレ予想を下方修正

 

 オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)は2月8日に公表した四半期報告で、2013年の国内経済見通しを下方修正した。米国や欧州、中国など世界経済を見渡せば、明るさが増してきている。しかし、国内経済に関して言えば、成長のけん引役を果たしてきた資源開発投資ブームはピークを迎えつつある。一方で、その後を担うとして期待される非資源部門の動きはまだ鈍い。

◇利下げの余地ある

RBAは、今年初めての開催となった2月の理事会で政策金利を3.00%で据え置くと決定した。RBAは2011年11月以降で計1.75%、昨年だけでも計1.25%の利下げを行った。昨年10月には、最大の輸出先である中国を含む世界的な景気下振れリスクや鉄鉱石価格下落などに対応して、さらに12月には資源開発投資ピークが近づく中で非資源部門の企業投資が依然鈍いとして、それぞれ利下げに踏み切った。

2月の理事会で据え置きを決めた理由としては、世界経済や金融市場の環境が改善し、株価や商品相場が上昇しているほか、国内的には、これまでのかなりの金融面からの景気刺激に関して、まだその完全な効果が表れるには時間がかかることなどに言及。「当面は引き続き(現行の)政策スタンスが適切と判断した」と説明した。一方で、インフレ見通しが十分抑制されている状況を踏まえ、必要であれば利下げの「余地があろう」とした。

◇世界経済へのリスク認識はやや後退

エコノミストらの間では、世界経済や金融市場環境の一部に改善が見られる中、RBAはこれまでの利下げ効果を見極めるため2月の理事会では追加利下げを見送るとの事前観測が有力だった。理事会後の総裁声明で利下げ余地への言及があったことで、「利下げバイアスにあるのは確か」(ウエストパック銀行のエコノミスト)との受け止めが広がった。市場では国内経済の要因から年内に追加利下げがあるとの観測が根強い。

RBAは、世界経済見通しに関して、昨年終盤に比べ「下方リスクの一部が弱まっている」との認識を示した。「一層の安定化の兆候」が出ている中国や、年初の「財政の崖」問題をひとまず回避した米国のリスクは「3カ月前よりも均衡しているようだ」とし、米国の成長は長期的平均ペースに戻る公算が大きいとした。ユーロ圏については、向こう数四半期かけて安定化した後やや上向くと予想した。

◇今年の成長率はトレンド下回る

13年の豪州の経済成長については、トレンド(長期的平均)を若干下回り、14年にはトレンド付近へとやや上向くとの見通しを示した。四半期報告では具体的に、13年平均の実質GDP(国内総生産)成長率を2〜3%と予想している。ただし、これは昨年11月の前回予測からレンジが0.25ポイント引き下げられている。14年の平均成長率は2.25〜3.25%に上向くと期待している。

前回予想から成長率を下方修正した理由については、鉱業や非鉱業部門の投資見通しが「これまでの想定よりも少し弱い」ことを示す情報があったことが主因と説明している。

より細かく四半期ごとに見ると、鉄鉱石や石炭の輸出が急回復した昨年10〜12月期のGDP伸び率は前年同期比3.5%と推定し、7〜9月期の3.1%増から若干加速したとみているが、今年4〜6月期では2.5%への減速を予想している。

◇資源投資は年内にピーク迎える


資源投資は年内にピーク迎えると予測される(Photo: BHP Billiton)

RBAは、資源開発投資をめぐっては、当面高水準が続くものの減速し、年内の向こう数四半期中にピークを迎えると予想した。鉄鉱石価格は、中国の鉱工業生産の増加とともに上昇し、昨年7〜8月の急落を「取り戻す以上」に回復したが、中国の鉄鋼価格の値上がりがそれほどではないため、鉄鉱石は現在の価格水準を維持できず下落するとの見方が大半だと指摘した。石炭価格はなおも1年前の水準を下回っているとした。

非資源部門の企業投資については、「上向く明確な兆しがない」と指摘。豪ドル高がこれまで考えられてきた以上に長く続く可能性がある中で、投資がいつどの程度上向くかは「依然としてとても不透明だ」と慎重な見方を示した。住宅市場に関しては、これまでの一連の利下げ効果が出てきており、昨年半ば以降、住宅着工許可件数が増加しており、賃貸収益率が上昇、中古住宅市場での価格も上向いているとした。

昨年後半に減速した個人消費の見通しをめぐっては、前回の四半期報告と「ほとんど変わっていない」と指摘した。目先、トレンドを少し下回る伸びが見込まれ、その後、若干上向くとの見方を示した。統計局が発表した直近の12年12月の小売売上高は(季節調整ずみ)は、前月比0.2%減と、3カ月連続で減少しており、消費の鈍さを裏付ける内容となっている。

◇雇用市場は軟調

RBAは、「この数カ月間鈍さが続いている」とする雇用情勢に関して、資源部門ではコストの最小化に重点が置かれ、公的部門の雇用は財政健全化の取り組みに圧迫される中で、目先は小幅な伸びしか見込めないとした。雇用の伸びは人口拡大のペースを下回り、失業はじりじりと増加していくと予想。労働市場の軟調見通しを背景に、賃金インフレ率は3.25%程度へとさらに弱まっていくとしている。

RBAは今回、経済成長見通しの引き下げとともに、13年4〜6月期の基調インフレの上昇率についても前年同期比2.50%とし、前回の2.75%から引き下げた。昨年10〜12月期のインフレ統計の数字が低かったことや労働需要などの見通しの若干の軟化が背景。基調インフレ率は、予測で示した2015年4〜6月期まで、2〜3%の目標レンジに収まると想定している。

◇消費者信頼感は改善

一方、RBAの四半期報告後に公表されたウエストパック・メルボルン研究所が発表した2月の豪消費者信頼感指数は108.3となり、前月の100.6から大きく上昇した。同指数は100超が楽観、未満が悲観を示す。ウエストパック銀行のチーフ・エコノミスト、ビル・エバンズ氏は「金利低下がようやく消費者心理に勢いを付け始めたかもしれない」との期待を示した。

エバンズ氏は、消費者心理改善の背景として、豪株価の上昇などにも言及。大型の家計消費に関して「買い時」と考える消費者が増えていると説明した。ただ、「これが実際の消費拡大に結び付き、非鉱業部門の景気を強めるには、この改善が持続する必要がある」とも指摘した。

新着記事

新着記事をもっと見る

新着イベント情報

新着イベントをもっと見る