【特集】サッカーAリーグ、いよいよ開幕─小野伸二も仕上がり万全

サッカーAリーグ、ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ

 いよいよ開幕!

 今年もAリーグが熱い

 豪州のプロ・サッカーの最高峰であるAリーグ2013/14シーズンの開幕が、10月11日に迫っている。今年からは、小野伸二やデル・ピエロの雄姿を地上波でも見られるようになるなど、注目のAリーグ。本紙連載でお馴染みのスポーツ・ライター植松久隆がその見どころを解説する。 文/植松久隆  写真/リチャード・ルアン、植松久隆、本紙編集部

さらなる成長を目指す9年目のAリーグ

10月11日に開幕するAリーグ9年目のシーズンを戦うのは、昨季、新規参入で旋風を巻き起こした小野伸二のウエスタン・シドニー・ワンダラーズ(WSW)、アレッサンドロ・デル・ピエロをキャプテンに据え覇権奪還を期すシドニーFCなど昨季と同じ顔ぶれの10チーム。各チームが3回戦の総当たりで27試合を戦い、まずは、レギュラー・シーズンの“リーグ優勝”を争う。そして、レギュラー・シーズンの上位チームによるファイナル・シリーズで“ファイナル王者”を決める豪州のプロ・スポーツではお馴染みのレギュラー・シーズンとファイナル・シリーズの2冠を争うフォーマットで行われる。


昨シーズン、開幕前に話題をさらったビッグ3は今季も全員残留

ちなみに、Aリーグが、前季から参戦のチームの顔ぶれが全く変わらずに新しいシーズンを迎えるというのは、09/10年シーズン以来、実に5季ぶりのこととなる。この事実が物語るのは、ここ数年のAリーグの激動の歴史。近年はクラブの消滅などに揺れたAリーグも、一部に“おとぎ話”と称されるような昨季のWSW参入の成功体験を経て、その激動の流れにひと息付いて、次の成長のステージを伺おうかというところに達している。今季のAリーグは、プロ・リーグとして「安定」と「成長」という2つの相反する目的を同時に追い、将来のさらなる成長につなげていくために非常に重要な1年になるのは間違いないであろう。

開幕直前、昨季のデル・ピエロ、ヘスキー、小野のいわゆる“ビッグ3”の入団で沸いた昨季に比べれば、正直、盛り上がりのインパクトに欠けているのは否定できない。“ビッグ3”はいずれも残留して、今季もリーグに彩りを添えるものの(ヘスキーはケガで出遅れて開幕には間に合わない模様)、昨季終了後のシーズン・オフにいくつか取り沙汰された新たなビッグ・ネームの入団は、豪州サッカーの至宝ハリー・キューエル(メルボルン・ハート)の復帰くらいしか実現せず、昨季とは違って、静かな開幕となりそうだ。

Aリーグが地上波でも

昨年のレギュラー・シーズンを制したWSWに否が応でも注目が集まる

もちろん、9年目のAリーグにポジティブな要素もある。特筆すべきは、今季からAリーグが地上波(無料放送)でも中継されるようになること。従来、Aリーグのテレビ中継は有料放送のFOXが独占、録画でもAリーグ中継を地上波で見ることは叶わなかった。その状況は、競技として普遍的な人気を確立、先行するそのほかのプロ・スポーツに対抗していかなければならないAリーグにとって大きな足かせとなっていた。しかし、当のAリーグは巨額スポンサーであるFOXにはばかって、この異常な事態を積極的に改善しようとはしてこなかった。

そんな状況を憂いて辛抱強くAリーグと豪州サッカー連盟(FFA)に働きかけてきたのが、準国営放送(公共放送)のSBS。もともと、「サッカーといえばSBS」という認識が広く持たれているように、SBSの独自のサッカーに関わる取り組み方はサッカー・ファンの間で高い支持を得ている。そのSBSが、今年3月からの豪州代表サッカルー


今季、WSWが目指すはグランド・ファイナルでのチャンピオン・リングの奪取であろう

ズの公式戦の放送権を獲得、W杯最終予選のオマーン戦から中継(筆者注:これもFOXの意向に添ってか、FOXの生中継から1時間遅れの放送という変則的なもの)を開始した。

そして迎える今季のAリーグ。SBSは、1節に5試合組まれるAリーグの金曜開催の1試合の放映権を与えられ、SBS2で生中継する。サッカー中継が地上波に戻ってきたのは、実に画期的なことで、サッカーは好きだが、今までAリーグをフォローしていなかった(できなかった)ライトなファン層を掘り起こし、彼らの興味をAリーグに向かわせる大きなきっかけとなる。サッカーが真のナショナル・スポーツになれるかどうかは、国内プロ・リーグであるAリーグの成功と発展にかかっており、今回の変化は成功への大きな足掛かりとなるだけに、成り行きを見守りたい。

もう1人の日本人、“昇り龍”となるか永井

今季の大暴れが期待されるパース・グローリーの永井龍

さて、ここからは、日本人選手に触れよう。昨季途中で、高橋祐治(現・京都サンガ)がブリスベン・ロアを退団後、今オフでの日本人選手の入団はなく、今季の開幕を迎える日本人は、小野と永井龍(パース・グローリーFW)の2人となった。

永井は香川真司、柿谷曜一郎など日本サッカーの未来を担う人材を続々と輩出するセレッソ大阪に所属していた、その将来性を嘱望されている逸材。現在は、セレッソからグローリーに期限付き移籍で所属、1年目の昨季は途中入団にもかかわらず、シーズン後半でレギュラーに定着、17試合に出場、2得点を上げる活躍を見せた。高いテクニックと豊富な運動量が高く評価され、クラブからは早々に契約延長をオファーされた。所属元のセレッソのチーム事情も熟考した上で、安定的に出場機会が見込めるパース残留を選び、地元のファンを大いに喜ばせた。明るいキャラクターでチームにも馴染み、押しも押されぬ主力として臨む2年目の永井に大いに注目したい。

さらなる進化を目指すWSW

そして、何よりもその動向が気になるのが、小野伸二とWSWだ。WSWは、出発ギリギリまで危ぶまれた2週間の日本/中国遠征に9月2日に出発。今回の強行軍は、出場が決まっているアジア・チャンピオンズ・リーグ(ACL)の予行演習という側面が大きかったようだが、新興クラブとして初めての海外遠征で得るものが多かったことは想像に難くない。

今年のWSWの戦力は、ポポヴィッチ監督からの絶対的な信頼を勝ち得ている初年度を戦った顔ぶれが、当然ながらベースになる。攻撃陣では、FWに期待の若手ユリッチとベテランのサンタラブを獲得、さらに厚みを増した。もともと堅守の守備陣にも、パースから大型DFへフナンを獲得するなど戦力整備に余念がない。


小野伸二も仕上がりは順調。今季もすばらしい活躍を見せてくれそうだ

初年度でシーズンVに輝いたWSWの今季の目標は、ファイナル制覇と初めてのACLで納得できる結果を残すことにある。その目標の達成のいかんは、チームの核として替えの利かない絶対的存在となった小野伸二のパフォーマンスにかかってくる。他チームが綿密な“小野封じ”の策を講じることで、昨年以上の激しいマークに晒されることもあるだろうが、ケガには気を付けて、シーズンを通して大車輪の活躍を見せてくれることを期待したい。

9年目のAリーグ、本命不在の今季はかなりの混戦が予想される。そんなピッチ上の熱い闘いを、まずはSBSかFOXでのテレビ中継でチェック。そして、思い切ってスタジアムに足を運んで、臨場感あふれる興奮に身を委ねてほしい。なぜ、人々がそこまでサッカーに熱狂するのかの答えが見つかるかもしれない。サッカーがそこにある幸せ──とにもかくにも、Aリーグの開幕が待ちきれない。

 

ウエスタン・シドニー・ワンダラーズ試合日程

 1節  10月12日(土)5:30PM  VS セントラル・コースト・マリナーズ  ブルータン・スタジアム
 2節  10月20日(日)5:00PM  VS ウェリントン・フェニックス  パラマッタ・スタジアム
 3節  10月26日(土)7:30PM  VS シドニーFC  アリアンツ・スタジアム
 4節  11月1日(金)7:30PM  VS アデレード・ユナイテッド  パラマッタ・スタジアム
 5節  11月8日(金)7:30PM  VS メルボルン・ハート  AAMIパーク
 6節  11月16日(土)7:30PM  VS メルボルン・ビクトリー  パラマッタ・スタジアム
 7節  11月22日(金)7:00PM  VS ブリスベン・ロア  サンコープ・スタジアム
 8節  12月1日(日)5:00PM  VS ウェリントン・フェニックス   ウエストパック・スタジアム
 9節  12月7日(土)5:30PM  VS メルボルン・ハート  パラマッタ・スタジアム
 10節  12月14日(土)7:30PM  VS ニューキャッスル・ジェッツ  ハンター・スタジアム
 11節  12月23日(月)7:00PM  VS セントラル・コースト・マリナーズ  パラマッタ・スタジアム
 12節  12月28日(土)7:30PM  VS メルボルン・ビクトリー  AAMIパーク
 13節  1月1日(水)5:30PM  VS ウェリントン・フェニックス  パラマッタ・スタジアム
 14節  1月11日(土)7:30PM  VS シドニーFC  パラマッタ・スタジアム
 15節  1月19日(日)4:30PM  VS アデレード・ユナイテッド  クーパーズ・スタジアム
 16節  1月26日(日)7:00PM  VS パース・グローリー  パラマッタ・スタジアム
 17節  2月1日(土)5:30PM  VS ニューキャッスル・ジェッツ  ハンター・スタジアム
 18節  2月7日(金)7:30PM  VS ブリスベン・ロア  パラマッタ・スタジアム
 19節  2月15日(土)7:30PM  VS メルボルン・ビクトリー  TBC
 20節  2月22日(土)6:30PM  VS パース・グローリー  nibスタジアム
 21節  3月2日(日)5:00PM  VS ニューキャッスル・ジェッツ  パラマッタ・スタジアム
 22節  3月8日(土)7:30PM  VS シドニーFC  アリアンツ・スタジアム
 23節  3月15日(土)5:30PM  VS アデレード・ユナイテッド  パラマッタ・スタジアム
 24節  3月23日(日)5:00PM  VS パース・グローリー  パラマッタ・スタジアム
 25節  3月29日(日)5:00PM  VS セントラル・コースト・マリナーズ  ブルータン・スタジアム
 26節  4月5日(土)7:30PM  VS ブリスベン・ロア  パラマッタ・スタジアム
 27節  4月12日(土)5:30PM  VS メルボルン・ビクトリー  AAMIパーク

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■Nichigo Pressウェブ版 Web: nichigopress.jp

 

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